V6小説~あさきゆめみし~

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VクラのVクラによるVクラのための小説投稿
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町を歩いている

雨が降っている



歩き疲れて、見慣れた公園のベンチに座った。

叩きつけるように降ってくる雨に抗うことなく、静かに目を閉じる


俺が行く場所なんてない

俺が生きる場所なんてない


もういっそこのまま…


メンバーには別れも告げず、勝手に事務所を出た。

アパートもその日のうちに出た。

どこに行くか、考えるのにも疲れてしまった。





こうして目を閉じていると、あいつの顔が浮かんでくる。振り払っても、振り払っても浮かんでくる。瞼の裏に焼き付いているのかもしれない。



…参ったな



誰かの前で涙を見せるなんて初めてかもしれなかった。
俺は優しさに甘えて、よりによって一番大事で、一番心配させたくないやつに弱さを見せた。
一番傷つけたくないやつで、自分自身を慰めた。
そしてそのまま姿を消した。


最低だ、俺。



一番辛いのは俺じゃない。



空を見上げて、愛しいあいつの名前を呼ぶ



『……◯◯』



返事があるはずがないのに。


自嘲気味に笑う





濡れた服や髪の毛が、容赦なく体温を奪っていく。
そういえば、飯も食えてねぇな。
金がない訳じゃない。

食う気がしないだけ。




目の前が霞んできた。



死ぬのかなー。

最後にあいつの顔、見たかった。



最後に抱いた女が、あいつでよかった。



浮かんでは消え、消えては浮かんでくる思い出達。
まるでキミノカケラだな。

カミセンの楽曲が頭に浮かび、振り払う。


ーもう歌えねーし。





そのまま俺は意識を手放した。