ぼるです。
みなさん、レンジはお持ちですか。
一家に一台はあたりまえ
昭和、平成、令和と、三世代に渡り活躍してきたレンジ。
人類の味方・右腕・参謀といっても過言ではないレンジ。
ぼるも例に漏れず、人生の相棒といっても差し支えないレンジ。
これまで数々の惣菜共、冷凍食品共、レンジでゆたぽん共を発熱してもらった。
引っ越したての、まだ鍋の用意のない頃
(今もない。フライパン一本しかない。)
紅茶が飲みたいときなんかに
マグカップに入れた水を幾度となく熱湯に変えてもらった。
これまで散々お世話になり、完全なる味方側のレンジが
ある日、一瞬にして敵となった。
「レンジであたためた食べ物は死んでるも同じ」
この情報を耳にしてからというもの
まじかい!あんた殺し屋だったんかい!ぎゃーーーーー!
レンジが一瞬にして悪と化した。
その日から180度世界は変わってしまった。
割引かれた惣菜を常食としていた女は苦悩する。
一瞬であたためたい。でもこいつは敵だ。
フライパンであたためるか。
、、、、、洗い物増えるやん。時間かかるやん。めんど。
エビチリは敵の陣地に送り込まれる。
ホッカホカのエビチリ。うまい。
エビチリは死んだも同然。
味方を犠牲にしてまで私腹を肥したいのかお前は!
エビチリを殺してしまった罪悪感よりも
死んだ味方を摂取したことによる自らの体内へのダメージが気になる。
すまん、エビチリ。
この一瞬の苦悩と懺悔のルーティーンをその後も数回にわたって繰り返し
いっちょまえに罪悪感が溜まってきたところで
敵の処分を決意する。
これ以上犠牲者を出さないために
市の粗大ゴミ回収に申し込み
ついに敵は消え去る。
やったーーーー!完全勝利!
敵は完全に駆逐した!
だが敵との共存期間が長すぎたためか
敵が生活の一部と化しており
駆逐したことを完全に忘れ
翌日、惣菜とパックごはんを購入。
帰宅し食事の準備にとりかかる女に現実がふりかかる。
あああああああぁぁぁーーーーーーーっ!
駆逐したんだったぁぁぁーーーーーーっ!
すべてを悟りフライパンを手にする。
パックごはんに目をやる。
「ボイルの場合、30分温めてください。」
大盛りを購入したことが災いしたようだ。
普通の量なら15分でいけるらしい。
人生で初めて、大盛りごはんを茹でる。
30分て長いね。
肉じゃがとか煮えちゃうよ。
敵が恋しい。
敵なら大盛りでも3分でいけるよ。
敵すげーな。
マイクロ波すげーな。
そりゃエビチリも一撃で死ぬわ。
敵に敬意を払いつつ、エビチリを供養しつつ
しかし栄養も一撃で破壊するんだから騙されるな!相手は敵だ!
30分後、ホカホカ大盛りごはんができあがる。
ごはんも初めての湯浴び体験を終え、心なしか嬉しそうだ。
続いて唐揚げもフライパンであたためる。
少しでも時短したい女の、強火でいっちゃえ意識が災いしたようだ。
片面が焦げて黒くなる。
心なしかジューシーさも失われたようだ。
こちとら完全なる味方でやらしてもろてますんで!
味方も使い方次第で敵になる事実をぐっと押し殺し
些細な失敗も含めかわいいね。おいしいね。とすべてを口に放り込む。
その後も
敵であたためていた蒸しタオルで目の疲れをとれなくなったことに落胆し
敵のフィールドが意外に生活に侵食していたことに驚嘆し
敵を駆逐することによるライフスタイルの変化への
想像力が乏しかった自らのケツの青さを痛感しつつも
それでも女は前に進むのだ。
もう2度とプラバンでオリジナルキーホルダーとか作れないけど
(プラバンはオーブンだったか。)
(数年前からオーブン機能が死んでたうちのレンジではそもそも無理だった。)
(プラバン楽しかったな。あんな大っきいのが想像以上に小っちゃくなるよね。)
食パンもプラバンも焼けないけど
だがそれでも明日へ向かうのだ。
レンジを捨て、失うものは大きいが
新たな何かを手にするのだろう。



