担当のふぁむと申します。よろしくお願いします。遅くなりましてすみませんでした><
コメントについては私がお返事させていただきます
怪盗X 恋の予告状 有栖川 雪
ある日のこと。
いつものように仕事が終わりシェアハウスに戻ると、ポストの中に手紙が入ってるのが見えた。
「またダイレクトメール?ニューヨークってそういうの多いんだよね…」
何気なくポストから手紙をとって、家に上がる。
「ただいまーって、雪さんはまだか」
手紙の宛先を確認しながら、雪さんと自分の分を分けた。すると…。
「あれ、この手紙」ダイレクトメールに混じって、私宛ての英語の手紙が入っていた。白い封筒の送り主の欄には、雪さんのお母さんの名前と住所が書いてある。
「なんだろう、私に手紙なんて…」
雪さんのお母さんには、私の電話番号やメールアドレスを知らせてある。早速封を開け、リビングで手紙を読む。
「わっ…これは」
(見事な癖のある筆記体…それに単語も難しくて、ちょっとすぐには読めないかも)
私は部屋に辞書でも取りに行き、英語の勉強でもするつもりで手紙の解読に挑もうとした。
ガチャッ…
雪「もどりました。おや…?」
雪さんが仕事から戻る。
「ああ雪さん…お帰りなさい」
雪「眉間にしわを寄せて、なにかあったんですか?」
「いえ、違うんです。実は、雪さんのお母さんから手紙が届いて…」
雪「…!そ、そうですか」
雪さんはなぜか顔を赤くして、そっぽを向いた。
(自分あての手紙だと思ったのかな?)
私は宛名を見せながら、雪さんに手紙が入っていた封筒を見せる。
「でも雪さん宛てじゃなくて私宛てなんです」
雪「ええ、知ってますよ」
「えっ?」
雪「いえ…それで?もう読みましたか」
「それが…」
手紙も雪さんに見せる。
「達筆なのと、ちょっと言葉が難しくて…辞書でも持って来ようかなって」
雪「ああ、そうでしたか」
雪さんはなにやら少し考えるようなしぐさを取った後フッ…と微笑んだ。
雪「よかったら私が読んであげましょうか?」
「いいんですか?」
雪「ええ。本当は○○が読んだほうが、英語の勉強にもなるんですがね」
「私もそう思ったんですけど、私にまだ筆記体は無理かな…と思って」
雪「なるほど…」
雪さんはなにが楽しいのか、ニヤニヤと笑っている。二人でソファーに座り、手紙を広げる。
雪「いきますよ…Dear○○」
雪さんは手紙を英語で最後まで読み上げ、私の表情を確認するようにこちらをじっ…と見た。まるで何かを期待するような目だった。
「あれっ…?」
雪「どうかしましたか、もしかして意味がわかったとか」
「いえ…途中ちょっとわからない所もあったんですけど」
(今の手紙…お母さんが書いたにしてはなんかちょっと変じゃない?)
文章の中に、男性が使うスラングのような言葉や『MY sun』や『LOVE』というお母さんが私に言うにしては不自然な愛の言葉が何度も出てくる。
(なんだろうこの違和感…いったいどういうこと?)
不審に思う私を他所に、雪さんが次に日本語に訳して読んでくれる。
雪「では、あなたが感じた意味とこの手紙が伝えたかったことを答え合わせしましょう」
雪「…親愛なる○○、こちらの暮らしにはもう慣れましたか?」
「ええ」
雪「あなたが英語の勉強をがんばっていると聞き、なにかの役に立てばと手紙を書いてみました」
「ああ、それで…」
(私の解釈は、だいたい間違ってないよね?)
しばらくは普通の内容だったものの、最後に私が最もおかしいと思った箇所にたどり着いた。
雪「○○に出会ってから、私の人生は大きく変わりました。私の太陽、○○…もう二度と、私から離れないでください」
(これだ!)
お母さんが私に言うにしては、少しおかしい。雪さんが一瞬間をあける。
雪「そ、その…」
手紙の最後の一文には『LOVE』と書いてある。それをどう読もうかと、迷っているようだ。
雪「…愛してます、○○へ ユキより」
「えっ、雪よりって…」
(まさかこの手紙を書いたの…!雪さんなの!?)
そう考えると情熱的な手紙の内容と、つじつまが合う。よく見ると癖のある字は、仕事の報告書などで見たことのある雪さんの筆跡そのものだった。
(そうだったんだ!)
私が真相に驚いて固まっていると、雪さんが心配そうな顔で私を見る。
雪「日本人の○○には、少々臭すぎる内容でしたか?」
「もう、雪さんってば!」
雪「わっ…!」
私はびっくりしたのと嬉しかったのとで、夢中になって雪さんに抱きついた。
「これってお母さんからの手紙じゃなくて、雪さんからのラブレターじゃないですか!こんなことするなんて、ずるいです!」
雪「ずるい?どうして…私は○○を喜ばせたいと思って…あっ」
「やっぱり雪さんなんですね!」
私にじっと見つめられ、雪さんが次第に照れたような顔をし始める。
「もう…こんなサプライズされたら雪さんのこともっと好きになっちゃうじゃないですか」
雪「ほんとに?」
「はい」
いつも言葉で伝えてくれている雪さんだけれど、またこうやって形にして伝えてくれたことがすごく嬉しい。
「こんなサプライズしてくるなんて、なんだか雪さんズルイです」
雪「ふふっ、そうですか?」
少しすねた声で言うと、雪さんが笑う。私が雪さんからそっと体を離すと、今度は雪さんが私を抱きしめてくれた。
雪「○○へ手紙を書いていると、何だか色々な思いがあふれてきて…自分が意外と情熱家だということに気づきました」
「雪さん…」
(どうしよう、雪さんにこんなに思われてるなんて嬉しすぎて…)
つい顔がにやけてしまう。緩んでしまう顔をごまかすために雪さんの胸に顔をうずめる。
(あ、そうだ…)
「もしかして雪さんって、過去の彼女にもこんな風に情熱的なラブレターを書いたりしたんですか?」
雪「なっ…まさか!」
雪さんのその返事と同時に、どこかほっとしている自分がいる。
雪「誰かを本気で好きになったのも、こんなに熱い手紙を書いてしまったのも初めてです。○○が私にそうさせているんだと思いますよ」
「私が?」
雪「ええ。こんな風に、自分の思いを伝えなければいられなくなるほど…私はあなたを愛してしまったんですから」
いつもは『i love you』で伝わる雪さんの気持ちが、今日は日本語の『アイシテル』で私に届く。
「自分の国の言葉で『アイシテル』って言ってもらうのって、いいものですね」
私は白い便箋を胸に抱きしめながら、キュンっとしてしまった心を落ち着かせる。
雪「でしたら私にも、私の国の言葉で言ってほしいですね」
「えっ…」
雪「愛してます、○○。私にも…伝えてくれませんか?」
雪さんの顔がゆっくり近づいてくる。
(ちょっと緊張するけど…)
小さく息を吸い、思いきってこう伝える。
「I LOVE YOU… Yuki」
雪「すごく嬉しい…ありがとう、○○」
雪さんのキスが私の唇に触れる。どちらからともなく抱きしめ合うと、そのまま何度も恋人同士の熱いキスを交わした。
…END…
○○がニューヨークにやってきて、しばらく経ったある日のことだ。
(そう言えばオレはまだ○○に自分の想いをはっきり伝えていなかったな…どうやって伝えるのが、一番思いが伝わるだろうか)
○○はきっとオレが○○のことを心の底から大事に想っていることを、まだ知らないだろう。置いてあった雑誌に目を通す。
(花やジュエリーは今さらだし…かといってただ『I love you』)だけだと、日常のあいさつのように思われるかもしれないし…)
○○は休みだというのに、辞書を片手に新聞を訳している。
(新聞はいい英語のテキストだって、言ってましたからね)
「えっと…ねえ雪さん、ここ…教えてもらってもいいですか?」
雪「いいですよ」
○○が新聞を持って、ソファーにいたオレの側にやってきた。
「この部分です。大統領が…のあとは何と訳したら」
雪「ああ、南シナ海の問題ですね。ここは…大統領のアジア重視戦略という発言は口だけではないかと揶揄されている、ですね」
「ああ、この部分が最初にかかってくるんですね。ありがとうございます」
○○は嬉しそうにニッコリと笑うと、テーブルに戻って行った。
雪「ずいぶん熱心に勉強するんですね」
「雪さんの国の言葉ですから。早くきちんと理解できるようになりたいと思って。だってほら、いつもは雪さんが私に合わせてくれてばかりですから」
(○○…)
家事に仕事に英語の勉強と、○○はこちらに来てからずっと頑張っている。
(そうだ。感謝の想いとオレからの気持ちを手紙で伝えたら喜んでくれるだろうか)
そう思った俺はさっそく手紙を書くことにした。
雪「すこし休みたいので、部屋に戻ってますね」
「あ、はい。お昼ごろになったら起こしに行きますね」
雪「お願いします」
オレは自分の部屋に戻ると、さっそく○○に手紙を書くことにした。
机の引き出しから真っ白な便箋を取り出す。
雪「愛する○○…」
感じるままに想いをこめ、一気に手紙を書きあげる。そして最後に読み返すと、それは恐ろしく恥ずかしい内容になっていた。
雪「アナタは私の太陽です…か。少し臭すぎるかな」
(○○は感情表現が控えめな日本人だしな…)
手紙にで出て来る単語の8割は、愛を伝える言葉だ。
雪「それにしてもオレは、こんなに○○のことが好きだったのか…」
自分に感心しながらも、今度は表現を少し控えめにして書きなおす。最初に感情的に書いてしまった最初の手紙は、そっと引き出しの中に隠した。
(そのうち見つからないように処分しよう)
封をして、シェアハウスの住所と○○の名前を書く。
雪「そうだ、差出人はどうしようか」
いきなりオレからの手紙だとわかってしまっても、面白くない。
(そうだ、母さんの住所と名前を借りておくか)
雪「これならきっと、何事かと思ってすぐに開けてくれるに違いないな」
手紙をよく読めば、内容はラブレターだと気付くはずだ。
雪「驚いてくれるといいけど」
○○の喜ぶ顔を想像しながら切手を貼り、次の日の出勤前にポストに投函した。
その翌々日。
いつもより早く仕事から帰ると、○○がリビングで見覚えのある便箋を手にしていた。
(届いたんですね…)
何気ない顔で○○に話しかける。
雪「眉間にしわを寄せて、なにかあったんですか?」
「いえ、違うんです。実は、雪さんのお母さんから手紙が届いて…」
雪「…!そ、そうですか」
(まだ読んでないみたいだな?)
○○の反応が可愛らしくて、つい顔に笑みが浮かんでしまう。
雪「それで?もう読みましたか」
「それが…」
○○がオレに手紙を渡す。
「達筆なのと、ちょっと言葉が難しくて…辞書でも持ってこようかなって」
雪「ああ、そうでしたか」
(文字のことまで考えてなかったな)
オレはつい癖で、いつもの報告書のようにスラスラと癖のある字で書いてしまった。
(このままだと、読むのに苦労かけてしまいそうですし…そうだ)
雪「よかったら私が読んであげましょうか?」
「いいんですか?」
○○はホッとしているようだ
雪「ええ。本当は○○が読んだ方が、英語の勉強にもなるんですがね」
「私もそう思ったんですけど、私にはまだ筆記体は無理かな…と思って」
雪「なるほど…」
○○から手紙を受け取り、まずは英語で読み上げた。
雪「どうかしましたか、もしかして意味がわかったとか」
「いえ…途中ちょっとわからない所もあったんですけど」
○○はどうやら、手紙の内容が母さんからの手紙にしては少しおかしいことに気づいているようだ。
(なかなか聞き取れてるじゃないですか)
英語の先生にでもなったつもりで、つい楽しくなってしまう。
雪「では、あなたが感じた意味とこの手紙が伝えたかったことを答え合わせしましょう」
次に日本語で読み上げる。
雪「…親愛なる○○、こちらの暮らしにはもう慣れましたか?」
「ええ」
雪「あなたが英語の勉強をがんばっていると聞き何かの役に立てばと手紙を書いてみました」
「ああ、それで…」
自分の解釈が間違ってなかったと思ったのか、○○が納得したような顔をする。
(フッ…可愛いですね、そんなに真剣になって)
しかし読み上げているオレにも、少々勇気のいる個所が近づいて来た。一番最後の部分、○○にこの手紙の意味を伝える場所だ。
(せっかくの機会です…きちんと伝えないと)
オレは心を落ち着け、素直な気持ちで最後の一文を訳す。
雪「○○に出会ってから、私の人生は大きく変わりました。私の太陽、○○…もう二度と、私から離れないでください」
○○がハッとしたような顔をする。
雪「…愛してます、○○へ ユキより」
○○「えっ…雪よりって…」
手紙を読み終わると、○○は真っ赤になりながら固まっていた。
(最初に書いた手紙よりは抑え目に書いたはずだが…)
引かれてしまっただろうかと心配になる。
雪「日本人の○○には、少々臭すぎる内容でしたか?」
「もう、雪さんってば!」
雪「わっ…!」
○○が嬉しそうな顔で、抱き付いて来た。そのまま押し倒されるように2人でソファに転がる。
「これってお母さんの手紙じゃなくて雪さんからのラブレターじゃないですか。もう…こんなサプライズされたら、雪さんのこともっと好きになっちゃうじゃないですか
(よかった…喜んでくれたようですね)
「こんなサプライズしてくるなんて、何だか雪さんズルイです」
雪「ふふっ、そうですか?」
○○をそっと抱きしめる。
雪「○○へ手紙を書いていると、何だか色々な思いがあふれてきて…自分が以外と情熱家だということに気づきました」
(もしかしたら、そういう風に○○が私を変えたのかもしれませんね…)
「もしかして雪さんって過去の彼女にもこんなふうに情熱的なラブレターを書いたりしたんですか?」
雪「なっ…まさか!」
そんな事を聞かれるとは、思ってもいなかった。
(もしかして…ありもしない過去に妬いてくれてるんですか?)
そんなことでさえ、彼女の気持ちが伝わってくるようで、なんだか嬉しい。
雪「誰かを本気で好きになったのも、こんなに熱い手紙を書いてしまったのも初めてです。○○が私にそうさせているんだと思いますよ」
「私が?」
雪「ええ」
そっと体を起こし、○○の頬に手を添える。
雪「愛してます、○○。私にも…私の国の言葉で伝えてくれませんか?」
「えっ…」
○○が一瞬、恥ずかしそうな顔をする。そして小さく息を吸ったあと、少し震える声でこう言った。
「Iloveyou…Yuki」
雪「すごく嬉しい…ありがとう、○○」
小さく開いたままの唇が、オレを誘う。
(Iloveyou…○○)
感情に流されるまま、オレは○○にアイシテルのキスをした。
…END…
雪さんにラブレター貰っただけじゃなく、英語と日本語で音読されるなんて羨まし過ぎー(笑)