映画『カムイのうた』、最終日にぎりぎりセーフで観てきました。

文字を持たないアイヌ民族の口承文学『カムイユカラ』（ユーカラ）を後世に残すため、病身を削って19年の生涯を駆け抜けた主人公の少女に涙を覚えました。

巷では漫画「ゴールデンカムイ」が人気のようですが、なぜかそこではほとんど触れられていないアイヌ民族に対する差別や迫害もこの映画ではしっかり描かれています。

てなわけで、昨年FBにアップした知里幸恵さんの『アイヌ神謡集』の感想を再掲しておきます。

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シロカニペランランピシュカン

銀の滴降る降るまわりに

コンカニペランランピシュカン

金の滴降る降るまわりに

金田一京助先生が翻訳した《ユーカラ》に触発されて、知里幸恵（チリユキエ）さんの《アイヌ神謡集》を書店で買いました。

これも、アイヌの伝承民話を日本語に訳したものですが、書いた知里幸恵さんは19歳の少女❗️

初版は大正11（1923）年に出版されています。

ちょうど100年前ですね！

この出版を勧め後押ししたのは《ユーカラ》を翻訳した金田一京助。

彼がアイヌ語の研究のため北海道を訪れた際に幸恵さんと出会い、その知性と感性に感銘を受け東京へ招いたとのことです。

のちに幸恵さんは金田一先生の家に居候しながら《神謡集》の執筆に寝食を忘れて没頭したと言います。

そして、なんとこの本の校正を終えたその夜に心臓発作で亡くなったとのこと‼️

享年19歳💧

⬇️の写真は金田一家の庭で撮影されたものとか。

本書は、左頁に文字のないアイヌ語をローマ字表記に置き換えたものを、右頁にそれを日本語に翻訳したものを配しています。

昭和11（1936）年出版の金田一先生の《ユーカラ》が文語調なのに比べ、10年以上前に出た幸恵さんの《神謡集》の方はほぼ口語調で身近に感じます。

ここには幸恵さんが選んだ13編の叙事詩が収められています。

何編か読んでみました。

語り手はフクロウやキツネ、ウサギ、オオカミ、沼貝などの動物。

カムイ（神）の化身とされる彼らが人間たちの営みや自身の失敗談なんかを、時に温かく、時に面白おかしく、時に辛辣に、時に憐れみをもって語ります。

いずれも、素朴な民話、寓話、説話の類ですが、自然と一体になって生きていたアイヌの世界観が新鮮で美しい。

ピリカ、ピリカ（美しい、美しい）‼️

また、幸恵さんの序文がなかなか泣けます💧

「その昔この広い北海道は、私たちの先祖の自由の大地でありました…」

高らかな先住民族宣言！

押し寄せる文明化の波に揉まれて消えつつあるアイヌ文化への哀惜、なんとかそれを文字の形で後世に伝えたいという熱い情熱…

しかも、幸恵さん、僕が中学時代を過ごした旭川の近文町にお住まいだったといいます。

中学では、そんなことを習ったことも聞いたこともなかったので、不覚にもまったく存じませんでした👎

今は時代が変わり、僕が卒業した旭川市立北門中学校に幸恵さん記念碑や資料室ができたとのこと。

いつか訪れてみたいですね。