前編において強いポケモンは大方出揃ったため、後編では細かい環境の変化が中心となる。
シーズン1のメタゲームのおさらいとして、どのように環境が動いていったかを筆者の視点で記しておく。
◆12/5~12/15
・激化するトゲキッス対策
トゲキッスの対策のためにバンギラス、ヒートロトム、耐久に厚いドリュウズのいずれかは構築に採用されるようになった。
果てはセキタンザンをちらほら見かけるようになるなど、この頃はトゲキッスを中心に環境が回っていたと考えて良い。
・壁展開
トゲキッス対策に対する対策のためか、ドラパルトやオーロンゲで壁を貼りトゲキッスで全抜きを狙う構築が増加。
壁を展開することでトゲキッス対策をトゲキッスで強引に突破する光景はこの時期によく見られた。
・ニンフィア
この時期に最も数を増やしたポケモンはニンフィアである。
オーロンゲやドラパルトで起点を作る動きに対して強く、自身も欠伸やバトンタッチで起点作りを行える。
・ドリュウズが強い
ロトム、バンギラス等のトゲキッス対策に軒並み強く、自身もトゲキッス対策となる。
また、起点作りのオーロンゲやニンフィアに対しても有利でありこの時期に流行していたポケモン全てに強い。
型破り型の他に制圧力の高い砂かきダイロック型も開拓され、全ての型を考慮すると受けられるポケモンが存在しない。
この時期に最も強かったポケモンはドリュウズであろう。
・総評
積みポケモン全盛期であり、どうやってトゲキッスを通すか、もしくはどうやってトゲキッスを対策するかの環境であった。
筆者を含め、トゲキッスの対処に頭を悩めたプレイヤーも多かっただろう。
◆12/15~12/25
・サザンドラとトゲキッスの凋落
対策されすぎた結果である。
テンプレの悪巧みサザンドラはマホイップやニンフィアで対策され仮想敵である受けサイクルの崩しが難しくなった。
トゲキッスは対策が激化した結果通りが悪くなり、この時期はこの二匹が数を減らしていた印象。
・ついでに減るバンギラス
弱点保険型がすっかり認知され鬼火や耐久ポケモンで誤魔化されるように。
また、仮想敵であるトゲキッスやサザンドラの数が落ち着き単体性能を求められるようになった結果、弱点保険バンギラスの通りの悪さも相まりサザンドラとトゲキッスの凋落を境に採用率も落ち着いてゆく。
襷型や竜舞型が数を増やしたものの弱点保険型程の流行には至っていない。
・一方で復権するギャラドス
数を増やしたカバ展開に強く、トゲキッス対策として採用されるドリュウズやロトムに打点があるためか通りが悪くなったトゲキッスと入れ替わる形で数を増やしてゆく。
欠伸や鬼火に耐性を持つために殆どのギャラドスがラムの実を持っていた。
・カバルドン展開
この時期に注目され数を増やしたのがカバルドンである。
ダイサンダーによる欠伸透かしを許さず、ラム身代わりで欠伸を透かして起点にしてくる相手を吹き飛ばしで流すことが出来る。
物理受けとしての安定性は落ちたものの、起点作りとしての性能は剣盾でも一級品であった。
受け辛いドリュウズに比較的強めであり、自身もドリュウズと相性が良いのも評価点である。
・アーマーガアが強い
アーマーガアの型の開拓が進み、従来の鉄壁ボディプレス型の他に、蜻蛉返りを持たせたサイクル戦重視の型や、詰め筋としての運用に特化したビルドアップ型も開拓された。
ビルドアップ型の配分はHB、HS、HD、ASと多種多様であり、持ち物は弱点保険、ラムの実、残飯どれを持たせても強い。
特にHDタラプアーマーガアの強さは折り紙付き。
物理ポケモンはビルドアップの起点にし、特殊ポケモンはHD振り+タラプの実で受けきり、耐久ポケモンや補助技を挑発で封じられる。
上から技を通してくるポケモンはダイジェットで攻撃しつつSを上げることで対応出来るなど、全方位に隙がない最強のポケモンである。
・受けループの復活
低迷していた受けループだが、ドヒドヌオーの並びが注目されたのを契機に徐々に復活してゆく。
どちらも一貫しやすいダメージソースである熱湯と毒々を覚え、耐性を活かしたサイクルによる誤魔化し性能の高さや、トーチカや守るでダイマックスによる崩しを防ぎやすい点が強みである。
ドヒドヌオーの台頭と共に、ドリュウズとミミッキュを受けられるアーマーガア、サザンドラ対策と特殊受けを兼ねるマホイップやニンフィア、ロトムの一貫を切るトリトドンやガマゲロゲ、特殊受けと潰し枠を兼ねるバンギラス、相手の崩し枠に対する潰し枠となるドラパルト、ミミッキュ、メタモンetc...と受けループのメンツは徐々に固定化されてゆく。
一方で役割破壊されやすいクレベースや、起点にされやすく環境に不利なポケモンが多いサニーゴはあまり採用されなくなった。
・カットロトム
カバルドンに強く、ドリュウズ相手に弱点を突かれず、ギャラドスを対面で安定して処理出来る対面性能の高さに加え、アーマーガア+トリトドンのような"ロトムの役割対象+ロトム受け"の並びに一貫する攻撃範囲が環境に非常に刺さる。
以上の理由から環境メタとして非常に優れた性能を持つため数が急増。
単体性能を見ても優秀で、カットロトムの攻撃範囲は受けるのが難しく、他のフォルムのロトムが苦手な範囲に強い対面性能がウリである。
一方で蜻蛉返りで弱点を突かれる、ヒヒダルマやパルシェンに弱い、ダイジェットが等倍で通るなど他のフォルムと比べてサイクル適正は低い。
サイクル構築よりは対面構築に適正のあるフォルムと呼べる。
・総評
依然として積みポケモンが強い環境ではあるが、壁展開の他に欠伸で展開したり、受けループが復活したりと環境で使われる構築のバリエーションが広がった。
ギャラドス、カバルドン、アーマーガアの流行はおそらくドリュウズが原因である。
この時期のトップメタはドリュウズと見て間違いない。
◆12/26~12/30
・トリルミミッキュ
長らくAS剣舞型が大半を占めていたミミッキュだが、この時期にようやく型の変化が訪れる。
ダイジェットを積んだギャラドスやトゲキッスに対する切り返し手段としてトリックルームが強いためトリルミミッキュの数が徐々に増えてゆく。
ミミッキュと共にドサイドンやコータスが採用されている構築のミミッキュは殆どがトリル型であった。
・アーマーガアのS振りチキンレース
アーマーガアミラーはSが高いほうが有利。
Sさえ勝っていれば後出しから対応出来るほどに有利関係はSに依存している。
そのため、アーマーガアのSラインがどんどん上昇し、最速個体もザラに。
一見最強に見えたHDタラプアーマーガアだが、アーマーガアミラーに明確に弱いため数を減らした。
・拘りサザンドラ
通りの悪い悪巧みサザンドラは環境から姿を消し、殆どが拘り眼鏡や拘りスカーフを持つようになった。
スカーフサザンドラは対面性能が高く、不利な対面では蜻蛉で逃げられるため初手に置きやすい。
眼鏡サザンドラはフェアリーがいない構築に対する崩し性能が魅力である。
どちらの型もダイマックスを切れば対面での撃ち合いとダイアークによる崩しを行えるため単体で完成された強さがある。
・役割破壊の草技
現環境では草技の通りが非常に良い。
カバルドンやウォッシュロトムは言わずもがな、受け気味のサイクルパではヌオー、トリトドン等の草技4倍弱点のポケモンの採用率が高く、それらのサイクルに役割破壊の草技が刺さるのである。
そのためソーラービームを採用したドラパルトやジュラルドン、ウッドハンマーを採用したミミッキュをちらほら見かけるようになった。
ギャラドスの強さはパワーウィップを習得する点にある。
パワーウィップがなければ突破出来ないポケモンがかなり増えるのでここまで高い評価を受けることも無かっただろう。
カットロトムが何故増えたかも現環境の草技の強さを理解することで説明がつく。
・ガマゲロゲ
アーマーガアなどを採用する際にトリトドンやランターンと共にロトムの一貫を切るための選択肢として挙がるポケモンだが、ガマゲロゲは毒まも型でじわじわ削る型だけではなく、ステロを撒いて起点を作る型やすいすいダイストリームで全抜きを狙う型があり、他と比べて型の選択肢が広いのが特徴である。
そしてそのどれもが実用的で、組ませるポケモンによって柔軟に構成を変えられる強みがある。
特に、草技を覚えるためエースとしての強みがギャラドスと共通するすいすいダイストリーム型はエースとして止まり辛く制圧力に優れている。
その強さが認知されたのかシーズン終盤ではよく見かけるポケモンの一匹になった。
◆最終日
最終日によく見かけた構築やポケモンを記載する。
・サイクルパ
積んで全抜きされる動きはトリックルームで対策されるためか、最終日ではサイクル戦を重視した構築とのマッチング頻度が高かった。
トリパはタイプサイクルで誤魔化しが効きやすいのである。
受けループの他に、
攻めと受けを上手くブレンドした構築が該当する。
ドラパルト+サザンドラ+アーマーガア+ドリュウズの並びはシーズン最終日に特によく見かけたサイクルの並びである。
アーマーガアの苦手なロトムや炎タイプに他の3匹が睨みを利かせ、ドラパルトとサザンドラが苦手なミミッキュ等はアーマーガアで対応する。
対応範囲が広く強力な並びである。
・偽装
受けサイクルに見せかけた展開構築もよくマッチングした。
特に印象に残ったのは渦潮+欠伸で相手を逃がさず欠伸を入れて龍舞バンギラスなどに繋ぐ戦術である。
こういった戦術があることを理解していても初見で見抜くのは難しく、強力な戦術であり続けるだろう。
◆最終日によくマッチングしたポケモン
数が多いため別項目にて記載。
・ヒヒダルマ
単純に受けるのも対面処理するのも難しく対策が困難。
スカーフサザンドラの大文字で処理するのが流行っていたのかそれを耐えるヒヒダルマをちらほら見かけるようになり、対策の難しさに磨きがかかった。
・パルシェン
相手のダイマックスに対する切り返しとして優秀なだけではなく、受けポケモンや水ロトムを採用していない構築ではパルシェンの一貫が生まれやすい。
・トゲキッス
対面性能と崩し性能を両立しているポケモンは攻め+受けのサイクルに対して強い。
トゲキッスの対策が落ち着いたのもあり最終日ではマッチング頻度が高かった。
・エースバーン
ウインディにも言えることだが、バンギラスやサザンドラに打点のある炎タイプは現環境で攻撃範囲を一貫させやすく強力である。
徐々に評価を上げていき今ではよく見かける一匹となったポケモンであるが、エースバーンはアイアントを抜ける素早さから蜻蛉返りや火力を押し付けられる点や、襷を持たせた際の対面性能が評価されたのだろう。
・カビゴン
殆どが鈍い+眠る型。
対応範囲が広く、状態異常の一貫を切れる点が買われたのだろう。
・ジュラルドン
ドリュウズ全盛期の12月中旬では数を減らしていたが、アーマーガア+ドラゴンの並びに強いためか再び数を増やしていた。
・パッチラゴン
対策が面倒なギャラドスや、ロトム全般に強め。特にカットロトムまでカバー出来るのは非常に偉い。
それに加えて崩し性能に優れていてダイドラグーンのA下降が強く、ダイマックスを切ると苦手な地面タイプとも撃ち合える対面性能の高さがウリ。
おそらく今ではウオノラゴンの採用率を超えている。
・ルチャブル
他のダイジェット枠と違いバンギラスやドリュウズに強い。
また、特性かたやぶりのおかげでヌオーやミミッキュで止まらず環境に刺さっていた。
・タイプヌル
クッション性能が非常に高く、電磁波蜻蛉によるサポートが強い。
アイアントと組ませた通称ヌルアントと呼ばれる並びが注目されていたらしいが、筆者がマッチングしたタイプ:ヌル入りの構築はどれもアイアントが抜けていた。
◆感想
筆者が感じたことを簡潔に。
・想定されない戦術は強い
・最も環境に左右されにくい構築はサイクルパ
・セルフ天候エースが強い
ドリュウズの技を半減出来て水半減にタイプ一致の草技を撃てるルンパッパ強くない?
・ランクマッチは複数プレイヤーからなるグループ同士の団体戦
私のようないつまでも一人でポケモンやってる古い人間は集合知に勝てなくなりつつあります。
◆シーズン2以降の抱負
シーズン終盤の最高順位は87位、最終順位は400位程。
シーズン1では計380戦ほど対戦しましたが、もっと強くなるには環境考察だけではなく構築力と実戦の積み重ねも必要だと感じたシーズンでした。
環境考察記事は今後も書き続けると思いますが、今後は構築の研究に力を入れていきたいですね。