酒好きヴォーカーズ 名古屋 -4ページ目

酒好きヴォーカーズ 名古屋

ダングォファンを世界中につくる!という構想を掲げ活動中!
お届けしたいのは「嬉しい・楽しい・面白い」と感じるシーンです。

第3話 ウルフQFSカード 

 

――狼の刻印

 

カード配布から二週間後。佐藤健太の生活は、まるで別人のものになっていた。

毎月30万円が自動でチャージされる。
使えば使うほど、次の分がすぐに補充される。
まるで底なしの財布だ。健太はもう消費者金融の取り立て電話を恐れなくなった。
母親には毎月50万円を送っている。
自分は新しいマンションに引っ越し、欲しい服も時計も、迷わず買うようになった。

 

でも、夜が怖い。毎晩、同じ夢を見る。黒い森。
金色の瞳を持つ巨大な狼が、ゆっくりと近づいてくる。
逃げても逃げても、距離が縮まる。
そして、狼が口を開けた瞬間――目が覚める。全身汗だく。
胸に、熱い痛み。鏡を見ると、左胸に薄い赤い痕がついている。
最初は虫刺されかと思った。でも、日ごとにそれは濃くなり、
明らかに狼の牙のような形になっていた。非公開グループのチャットは、さらに荒れていた。

 

【参加者K】
「みんな、胸痛くない? なんか熱いんだよな……」

【参加者L】
「俺も! 鏡見たら、変なアザできてる。狼の牙みたい」

【参加者M】
「写真うp」
→ 画像が複数投稿される。
全員、同じ位置に、同じ形の赤い刻印。

【参加者N】
「これ、やばくね? 病院行った人いる?」

【参加者O】
「行った。医者も原因わからんって。
 でも、カード使うのやめたら、痛みが少しマシになった気がする」

【参加者P】
「やめられるわけねーだろ! こんな金、生涯で稼げねーよ!」意見が分裂し始めた。
カードを捨てたい派。使い続けたい派。
 

そして、異変を「覚醒」と呼ぶ派。健太は、後者に近づいていた。

ある夜、夢の中で初めて狼が話しかけた。

『お前は、選ばれた』低い、響く声。
『古い血が、目覚めようとしている』目覚めた後、健太はカードを握った。熱い。
まるで生き物のように脈打っている。そして、アプリを開くと――通知が来ていた。

 

【ウルフQFSシステムより】
「おめでとうございます。レベル2覚醒を確認。
 次回チャージ額を50万円に増額します。
 さらに、特別機能が解放されました。」特別機能?
タップすると、新しいメニューが出現。・狼の遠吠え(位置情報共有)
・群れの声(選ばれた者同士のテレパシー通信)
・刻印の強化(能力向上)健太は震える指で、「群れの声」を開いた。

そこに、千人の中から選ばれた30人の名前が並んでいた。
全員、胸の刻印が濃い者たち。一番上に、自分の名前。

 

その下に――「光坂一狼」健太の息が止まった。光坂が、群れの一員?いや、違う。
彼の名前の横には、特別なマーク。
「アルファ」と書かれている。その瞬間、頭の中に声が響いた。

『健太、聞こえているか?』光坂の声だ。

健太は慌てて返事を打とうとしたが、キーボードはいらない。
心で思っただけで、伝わる。『……はい、聞こえます』

『良い返事だ。お前は、早く目覚めたな。近いうち、群れを集める。

本当の黄金時代を始めるために』『本当の……黄金時代?』『金など、ただの餌だ。
 真の目的は、覚醒した者たちで、新しい世界を築くこと。古い人間たちは、必要ない』

 

健太の背筋に、冷たいものが走った。
でも、同時に――
胸の刻印が、心地よく熱を帯びた。まるで、喜んでいるように。

 

外で、遠くから狼の遠吠えが聞こえた。

 


今度は、夢じゃない。


現実の、名古屋の夜空に。

 

 

第3話 「ウルフQFSカード」

 ――狼の刻印(詳細拡張版)

 

カード配布からちょうど二週間。
2027年の1月、名古屋内は記録的な寒波に見舞われていた。佐藤健太、32歳。
かつては派遣切りと借金のループで喘いでいた男が、今は高級タワーマンションの

27階に住んでいる。家賃は月45万円。
もちろん、ウルフQFSデビットカードで即決済。毎月のチャージは30万円のはずだった。
だが、健太はすでに累計で800万円以上を使っていた。
使えば使うほど、残高は不自然な速さで回復する。
まるで、カードが「もっと使え」と囁いているかのようだった。

生活は激変した。・母親には毎月100万円を送金。

実家をリフォームし、父親の墓も新しくした。
・自分は高級ブランドの服を買いあさり、 Rolexのデイトナを衝動買い。
・女友達を連れて六本木の会員制バーへ。
・そして、夜は毎晩――夢。黒い森の夢は、回を重ねるごとに鮮明になっていた。

最初はただ追われるだけだった。
 

次に、狼が話しかけるようになった。
そして今夜――夢の中で、健太は初めて立ち止まった。

巨大な狼が、月明かりの下に立っている。体長は軽く3メートルを超える。
金色の瞳が、じっと健太を見据える。『ようやく、逃げるのをやめたな』
狼の声は、頭蓋骨の内側に直接響く。健太は震えながら聞いた。

「……お前は、何だ?」『古い血の呼び声だ。

お前の中に眠る、狼の刻印だ』狼が一歩近づく。
その首には、黒いカードと同じ狼のエンブレムが、毛皮の下に光っている。

『光坂一狼は、ただの案内人にすぎん。本当のアルファは、もっと古い。お前たち千人は、種だ。新しい群れの、種だ』健太の胸が、焼けるように熱くなった。
現実世界でも、左胸の刻印が疼く。夢の中で、狼は牙を剥き出しにした。

『覚醒を拒む者は、喰われる。受け入れる者は、群れとなる。選べ』

 

健太は、夢の中で初めて――
狼に向かって一歩踏み出した。すると、狼は満足げに頷き、健太の胸に牙を突き立てた。

痛みはなかった。代わりに、熱い血が全身を駆け巡る感覚。

目が覚めた時、健太はベッドの上で上半身裸だった。
鏡の前に立つ。左胸の刻印は、もう赤いアザではない。鮮やかな黒いタトゥー。
狼の牙が、心臓を噛み砕くようなデザイン。そして、その周囲に小さな文字が浮かび上がっていた。

 

「LEVEL 2 AWAKENED」アプリを開くと、通知が山のように来ていた。

【ウルフQFSシステム】
「覚醒レベル2達成。おめでとうございます、佐藤健太様。
 月額チャージ額を50万円に増額。
 特別機能『群れの声』完全解放。
 現在、覚醒者:37名(千人中)」群れの声を開く。そこは、もはやチャットではない。
テレパシー通信。
文字ではなく、直接頭に響く声。『おい、佐藤! お前もレベル2か!』
――20代の男の声。『胸の刻印、黒くなったよね? カッコいいわこれ』
――若い女性。『でも、夢が怖い……もう逃げられない気がする』
――別の誰か。そして、一番強い声。『よくやった、健太。お前は上位だ。
 今週末、群れの初集会を開く。場所は指定する。来い。拒否は許さない』

光坂一狼の声だった。健太は窓辺に立ち、名古屋の夜景を見下ろした。
遠くのビル群が、まるで古い世界の残骸に見える。胸の刻印が、心地よく脈打つ。
もう、怖くない。むしろ、待ち遠しい。

 

一方、非公開グループのメインの方は、阿鼻叫喚だった。カードを捨てた者、使わなくなった者たちの投稿。

【参加者Q】
「助けて……胸が焼けるように痛い。病院行っても異常なしだって」
【参加者R】
「夢で狼に噛まれた。起きたら血が出てた。本物の血」
【参加者S】
「カード捨てたのに、残高がスマホに直接表示されるようになった……どうなってるんだよ」そして、突然――

【参加者T】
「みんな、聞こえるか?俺、もう……」
――メッセージが途中で途切れる。その後、参加者Tの名前が、リストから消えた。

誰も、理由を口にしない。
だが、みんな薄々わかっていた。使い切れなかった者、
覚醒を拒んだ者たちは、
静かに「淘汰」され始めている。健太はカードを握りしめた。熱い。生きているみたいに。

 

今夜も、遠くで狼の遠吠えが聞こえた。
今度は、複数の声。群れの、合唱。

 

・・・・・・・・・

 

 

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そして私達の金銭的、経済的不安・悩みも激減しています。

 

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