過ごしやすい季節。
青々とした空、そんな空に白い雲が流れ照りつける太陽の元、栄養を摂取しよう張り切る草木達。
そんな日の昼下がり。
まだ黒や赤のランドセルを背負う宿命を背負う前の小さな子供達が、親と共に公園で遊んでいる。
この時は人見知りなんて言葉使うことはない。
いや、むしろ存在しない。
とにかく、目的の場所に誰かいたら一緒に自然と遊んでいた。
滑り台を滑る者。ブランコに乗る者。砂場で洗濯を後でする母親の苦労など露知らず砂まみれになるまで遊ぶ者。十人十色。いろんな奴がここにはいた。
当時、まだ5歳だった俺もいつものように母親に連れられ公園へと出向く。 そして、公園の門をくくればここは俺たちの世界。一目散にいつもの場所、俺の遊び場へと向かった。ただ、それは一風変わった場所。普通なら遊具やかけっこ。鬼ごっこや砂場で遊んだりするんだろう。でも、正直俺はそんな遊びに興味がなかった。そのかわり幾度となく同じことをしても飽きないものに出会えた。
それは「花を眺めること」。
綺麗に整えられた花壇の花やその辺に生えてる花。とりあえずなんでも手当たり次第ずっと眺めていた。やっぱり当たり前のように母親はもっと身体を動かした遊びをして欲しかったらしく、事あるごとにやんわりと誘導してくるがストレートに断った。そして、周りにいる子も最初は
「一緒に遊ぼう?」
と誘ってくれていたが、断り続ける俺を見て段々と誰も声をかけては来なくなった。それでもいい。俺はこの強く生きる姿、色鮮やかに咲く花に魅了され陽が暮れるまでいろんな花を見ていた。それも、ずっと1人で。
そんなある日、今日もいつものように花を眺めていると1人の女の子に声をかけられた。
「お花、好きなの?」
背後から聞こえる可愛らしい声に正直、色々な意味で驚いた。もう、誰からも相手にされなくなった俺に声をかけるなんて相当な変わり者か新参者だろう。でも、周りの奴らとは違って初めて「花」という言葉を使って話しかけてくれた。俺もガキながら嬉しかったんだ。ちょこんと座って眺めていた俺も、背後から聞こえる声の方へ視線を上げた時。これがキミとの初めての出逢いだった。まさか、この出逢いが俺の人生を左右するなんて思ってもみなかったんだから。