この日はマチェラータのお弟子さん宅に逗留。
ありがたや!
イタリアでホテルに宿泊するのも良いけれども、気心のしれたかたのおうちに泊めていただくのはさらに文化交流できて楽しいものだ。
そういう習慣は古代ローマ時代から続いていて、大抵古代ローマ人は郊外に別荘を持っていたから、その客間に来客を泊めて、農園で取れたブドウやオリーブなどを振舞うものだ。
最高に疲れている時はオススメしないけれど😓
パオロ君
「先生、よかったら僕が今やっているオリーブ工場の仕事をご覧になりませんか?」
ナポリ介
「お!見てみたいね!」
ということでお連れいただいたのは、なんと彼のお宅に隣接する建物?!
え?あなたのおうちの家業だったのか・・・
パオロ君
「そうです。大学では法学を学んだのですが、世界はゆくゆく自然と調和した生活をしないと成り立たないようになると思って、思い切って家業のオリーブ抽出工場で働くことにしたんです。都会に出るより給料はずっと安いですが、楽しいです」
そんな考えがあったのか・・・
農業に従事する人口は日本でもイタリアでも減少する一方。
都会の若い人がナチュラルライフを求めて農家になる流行はあるにせよ。
ニッポンでは相対的にみて極端に減少しており、もはや消滅寸前。。
農林水産省の統計によると、農業従事者の65歳以上の高齢者が実に9割!!
江戸時代には日本の人口の80パーセントが農家だったところから、今では200万人以下に。10%にも満たない。
農機具、農薬、品種改良、食生活の変化など要因はたくさんあるけれども、、
農業は儲からない、キツイ地味というイメージ。
ナチュラルライフなんて言ってもこのままでは日本の農業は消滅です。。。
漁業も同様。
直接自分の生活に関係ないと感じてしまうことは右から左なのが人間というもの😅
さて、オリーブ工場へゴー!!
うぉーーーーー
パオロくん
「マチェラータに限らずイタリアではどの地域にも特産のオリーブがあります。秋になると自前で収穫されたオリーブをこちらに持ってきてすり潰し、不純物をとり、圧縮する工程を行います」
へぇーーーーー!
オリーブオイルの瓶の裏に『エクストラバージンオイルは、低温で時間をかけて圧縮抽出されて』ウンヌン書いてあるのを読んだことがあるけれど、それはこういう過程だったのか・・・・
機械がグルングルン回っている。
近所の人たちがオリーブを大量に持ち込んで絞ってもらい、抽出されたオリーブオイルを持って帰るっていう習慣がスゴイな😵
確かに我がまちナポリでも、至る所にオリーブの木が植えてある。
あれ全部ちゃんと収穫しているのか??と疑問に思うくらいたくさんあるのだけれど、昔は一族が秋に集まって手作業でやっていたらしい。
私もオリーブ収穫させてもらったことがある。
今でも大家族が集まれる家庭はそのようにやっていて、作業の後はさながら収穫祭!!
イタリアの伝統を感じられてステキなものだ。
そう思うと、日本で言えば、実家の田んぼで収穫したお米を精米所に持っていって精米してもらうような感じだろうか。
ちなみに、三菱UFJリサーチさんの2017年の調査によると、日本の有機無農薬栽培のものの市場規模は1300億円。一方ヨーロッパは3,7兆円と、3倍近い規模なのだそう。
あれ??日本の健康志向って・・・??実は先進諸国の中でめちゃ低い??
一概には言えないことではあるけれど、私が七年間イタリアに生活している肌感覚としては、有機無農薬の野菜や卵それに果物というのは、至って普通で身近に手に入る。
日本では有機無農薬という時点でお金持ちが伊勢丹スーパーや成城石井など高級スーパー??で買うものの水準なのでは?
イタリアではどのスーパーでも普通に売っている。
それにもかかわらず健康志向の強い方は、庭で野菜育てたりしている。
現金の出費を抑えるという理由もあるそうだ。
ちなみに、イタリアは国土の45パーセントが農地!!
この調査には日本の国土面積における農地の割合が記載されていなかったけれど・・・
日本各地を回って肌感覚で察するに、日本はほとんど山。 森に林。新幹線で走っても、車で走っても、飛行機で空から見てもドコモかしこも緑が多い。
一方、イタリで森や林を見る機会は実はあまり多くはない。
我が街でも、森を見ようと思ったらモンテファイーとという山に登るしかない。
工業化が進んでいる北イタリアの方が比較的多いかな?と感じる。
南イタリア、それにシチリアをドライブしていると、オリーブ畑がとても多い。
というのも、紀元前のギリシャ人のイタリア入植の頃から、イタリア半島というのはひたすら木を切り倒してきたのである。
船を作るため、暖炉の薪にするため、建材に使うため。
石造りの家がほとんどであるけれど、天井は木でできているのだ。
イタリアには森や林を敬う習慣がなかったから、躊躇なく木を切れたのではないだろうか。
すでに古代ローマ初代皇帝アウグストゥスの時点で、主食の小麦粉はエジプト、北アフリカ、それにシチリアからの輸入で成り立っていたのだ。
だから、イタリアの農家にとって、高付加価値の農作物を作らないと生き残れないという意識は今から2000年前から刻み込まれていたわけだ。
一方、我が国ニッポンでは、森は神様の住処。 山そのものを神聖な聖地と見るケースも日本中にあるし、神社という聖域に森がないなんてあり得ない。
そして海の恵みすら森と切っても切り離せないことを経験則で古代から知っていた。
墾田永年私財法が制定された頃から、新しい農業用地を開拓する動きは加速されただろうけども、山を切り開いてもそこに祠を作って神を敬うということをしてきたのだった。
そして、税金はお米!!年貢とは7。8世紀のころから米だった。
したがって、今の日本で農地を増やす必要はないだろう。
私としては、農地に触れることはほとんどの日本人にとって大きなプラスになることだろうと考えている。
ソーシャルサバイバルで忙しいサラリーマンは自然に触れて癒されるだろうし、座学教育と競争社会で疲弊した子供たちにとっては五感が磨かれて最高だ。
邪気や雑念があっては作物を育てることなんてできないだろうから。
ポルポトさんのように全国民を農家にするなんて無茶だけれど、せめてひと月の4日くらいを土に触れて農業をするというのはどうだろうか??
ほとんどの人は収入と労働環境で仕事を選ぶらしい。
やりたいこと・好きなことより、お金と安定?
その視点のままなら、農業と漁業はすぐに崩壊してしまう・・・それはマズイ。
ニホンのスゴイところは、自然を敬う心。食物連鎖を古代から理解し続けていた、世界的に見てレアな国民だ。
武道もスゴイ。
もともとあるものを見直すだけでいいのだからカンタンなのではないか。
さて、イタリアのオリーブ工場を後に、いちろミラノへ、
マチェラータから4時間ちょっと。
アドリア海沿の道を北上。
途中、サンマリノ共和国の看板を目にする。
そう、バチカンと並ぶ、世界でもレアな極小独立国家😍
ルパン三世カリオストロの城みたいな国なのだが・・・
先を急ぐため今回は立ち寄らなかった。
2016年の3月頃に行ってきた体験記があるのでご一読あれ
そうしてエミリアロマーニャ州を走る。
途中ボローニャを通り過ぎる。
このボローニャでも何度かステージをさせてもらった。
忘れもしない、イタリアで最初に長期滞在したのはボローニャの街。
ここでイタリアのボイトレを学ばせてもらった。
2011年の話だからもう10年ほど前のこと。
こちらの体験記もどうぞ。
さて、ミラノ!!
到着した頃には暗くなっていたので、街並みの写真はなし・・・
今回はミラノで人気の肉料理店へ。