「誰もが好きなことをやったら社会は成り立たないですよね?」

「ん」

 

 

「いや、相川さんみたいに自分の好きなことを追求する人生を送ったら、人が嫌がる仕事をやってくれてる人がいなくなって、困ったことになるだろうと思うんです」

「そんなことはないよ」

 

 

「そうですか?」

「むしろ、本当に必要な仕事と、必要ない仕事が選別できる」

 

 

「はい、、でも、例えばゴミの収集をやってくださってる人たちがいますよね?この暑い中本当にご苦労様です。でも、たぶんこの方々に『これからは好きなことだけやっていいです』って伝えたらたぶん『ふざけんな!!給料ないと生活できないだろ!』って怒られてしまうんではないかと」

「でしょうね」

 

 

「もし仮に、今世界的な話題になっている『ベーシックインカム』が日本にも導入されて、この方々に『これからは好きなことだけやったらいいです』と伝えたとしたら、たぶん、誰もゴミの清掃員なんてやらないんじゃないかと」

「ふむ」

 

 

「そうですね、世の中には変わり者がいるでしょうから、ゴミの清掃員が本気でやりたいっていう方もいるかもしれません。でも、ゴミとか電力とか電車とか、そういう人間が社会で生きるのに必要なインフラって、必ず一定の人数がいるわけですよね。 変わった人の気まぐれでは、そういう仕組みを運営できないのではないでしょうか」

「実はそうでもないのよ」

 

 

「そうですかね、それに、好きな場所に住もうっていうことで、誰もが外国のリゾート地に住むようになったら、日本の地方の過疎化がますます進んでしまって困ったことになるんではないでしょうか?」

「そうでもないよ」

 

 

続きは・・・・