日本に来たことがあるイタリア人以外は、本場日本の剣道試合をユーチューブでしか知らない。


ビデオは編集できるし、なんというかその試合の背景であったり、審判の機微、観客の様子、そういうものがみんなわからないようだ。

試合ならではの戦い方やテクニックもある。

ということで、指導側ではなく一選手として出場を決めた。

初心者相手の試合。

みなさんの上達につながるなら!


まず、試合前の調整や、試合直前のウォーミングアップの方法を誰も知らないことがわかった。
なんと出場者が50名近くいるのに、一人も面をつけない。。

デモンストレーションで抜刀堂の試し切りをしていた。

内容についてはなんとも。。

外国。。

問題は、このデモンストレーションのタイミングと長さ。

前半戦おわり、後半戦にはいる間の1時間ほど。

普通、日本では演武は試合前である。

選手の温まり具合、集中力の維持のため。

運営にも問題多し。




最大の問題は、この三人の審判たちだ。

明らかに一本でもあげず、当たってもいないのにヌルッと一本あげてしまう。。

しかも選手が動いても彼らは動かない。角度が悪いと打突が見えにくいのは当然なので、見えやすい位置に動かねば。

ただ、誤審は日本でも頻発しているとよく言われるし、試合は生き物であり、勢いに左右されるものであろう。

審判員の服装は背広姿がスタンダードだったはずだが、なぜか通常の稽古着なのも不思議だ。

審判員の一人は、剣道のことをあまり知らない空手の先生である。。

人柄が素晴らしい人だが、剣道のことをよく知らない人がいったいどうやって100分の1秒という高速の剣さばきの中、瞬時に有効打突を見分けるのだろう???

できなくて当然で、むしろ酷なことである。

旗の使い方や、合議、別れ、合図の言い方などもメチャクチャ。

根本的な剣道の勉強からやり直さねばなるまい。

試合規則については明るいようだった。

さて肝心の選手たち。

まともにまっすぐ面を打つ選手が一人もいなかった。。

応じ技を打つものもいない。

2拍でうつ変な横コテが目立つ。

たぶん、ユーチューブで世界選手権の日本選手や韓国選手の技を見て真似てるのだろう。

ヒドイ。

すり足や踏み込みといった基本動作ができる選手は一人だけで、他はみなボテボテとした初心者だ。

打突のスピードが恐ろしく遅い。 日々の打ち込み稽古など基本打ちが足りてないからだ。

体当たりをする選手が一人もいない。
打突後の体捌きを練習せねば。

決勝で対戦したブッカ選手は、この大会の主催者であり、この剣道連盟の技術顧問のような人であり、現役の警察官である。

さすが彼だけは、剣道として成り立っている。

実力としては、日本だと4段から5段、大学生くらい。

誰からも教わることができない環境の中、ユーチューブだけでここまで上達できることは素晴らしいことだ。

ただ、彼の得意とする技は、近間での裏から竹刀を回して打つ引き面。

そう、韓国選手の得意とする近接打突。

そして、横コテ。。

どちらの技も苦手だ。。

日本では、ヘンテコな近接打突を教える高段者の先生を見たことがないので、慣れてない分怖い。。


しかし、このブッカ選手、試合の時に限ってのことならまだよいが、問題なのは地稽古でも同じ技ばかりなのである。

指導者のトップが近間の引き面と横コテばかり打つのなら、当然彼に指導を受ける初心者たちも同じような技を使うだろう。


一足一刀の間合いからの面。

せめぎ合いから、相手を引き出しての応じ技。

剣道のエッセンシャルなエレメントがここには欠けている。

ヤバイ。。

本意ではないが、初心者相手なので、口で言ってもわかるまい、圧倒的な実力差を見せつけるには試合で勝ってみせることだと思った。






トロフィー🏆を受け取るのは苦笑いだ。。

彼らの中でまともな剣道が成り立つように、これからもイタリアの人たちへの剣道、精進する!