夜が明け始めると、太陽の光が眩しくて、自然と目が覚めます。

気づいたら、おじいさんとおばあさんはもう起き上がって何やら作業に取り組んでいます。

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僕は眠いのでそのまま横になって、毛布をかぶります。

寒い。。

イランはもう夏。日中は38度まで上がります

ところが、ここは標高2900メートル。

明け方が一番寒く、10度くらいまで下がります。


直射日光が毛布に当たる頃になって、暖かくなって来たので起き上がりました。

すると、夜中にメェメェ鳴いていた羊の群れが姿を消しています。

はて?

おじいさんに聞いたら、山の上の方に草を食べに行ったとのこと。

後には色とりどりの子羊たちが、やはりメエメェ言いながら草をはんでいました。


おばあさんが何をしているのか見てみると、何やら銀色の容器を炉端の上に吊るして揺らしています。

傍らには真っ白なミルクが。

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聞くと、これは羊ミルクでチーズとバターを作っているとのこと。

時折その銀色の容器を開けて手を突っ込み、固まり具合をチェックしていました。

バターってこうやって作るんだ、、、、


方法は知っていたものの、生でみたことはなかったので、とても新鮮な体験。

普段、工業製品のバターやチーズしか食べてないので、手作業の様子を見れるとは。。

「ヨウスケ、朝ごはんにしよう」

ということで、友人に炉端に座るように言われ、そこで紅茶とパンを。

先ほどの銀色の容器からすくいだされた生バターとヨーグルト。

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それから、子羊の群れに紛れてコケコケコーーと鳴いている鶏の卵で作ったスクランブルエッグ。

シンプル。

いただきます。

食べてみるとびっくり!

なんて美味しいんだ!

パンも卵もバターも。

信じられない!

同じ食べ物?!

なんの味付けもされていないのに、一口一口感動するほど美味しいのです。

そして濃厚。


その間にも、おじいさんは黙々と銃を磨いています。

おばあさんは銀色の容器をゆらゆら。

羊はメェメェいって遊んでいます。

日常。

テレビもない。

携帯電話も通じない。

電気もない。

水道もない。

ガスもない。

屋根はあるけどドアがない。

エアコンも扇風機もない。

曰く、彼らは納税する義務もないとのこと。

病院にはいかないらしく、怪我や病気は山の薬草で済ませるそう。

なのに寿命は80歳前後と長命。


先進国に住む人とはかけ離れた日常に、新鮮な驚きと感動を覚えました。


続く