こんばんは!
恵比寿でヴォイストレーニングしている、声の芸術家相川陽介です。


ヴォーカリスト向けの記事の続き。



『人前で歌うとなると、緊張して声がでなくなってしまう』


『緊張すると、声が裏返ってしまう』




ステージ初心者によくある現象です。


こういう時、どうすればいいでしょうか??



ヴォイストレーナーに求められる素養として、声に関する知識経験以外に、

『心理学』

があります。
あまりアカデミックな知識である必要はなく、実践的なカウンセリングメソッド、コーチングメソッド、NLPと呼ばれる神経言語の知識など。


なぜなら、それだけ心理状態が声に影響するからです。


さて、


「人前で話すとなると、緊張してしまう」


「ステージであがってしまう」



ということ。


これには、どうすればいいのでしょうか?


具体的に対応策はいくつかありますが、その前に。


緊張した時に体に起こる変化について。


・声がうわずる


・痰がからむ


・目線が泳ぐ


・呼吸が浅くなる


・手足が震える


・声が小さくなる


・セリフや歌詞が飛んでしまう


・動きが小さくなる


・口の中がカラカラになる


などなどの変化がありますね。

どうして、人前にでるとそんなに緊張してしまうのでしょうか??


それは、恐怖感だということです。


人前でしゃべる、歌うということは、断崖絶壁の崖から飛び降りることと同様の恐怖があるのです。



上記のような変化がでる、心理的な理由は


「ヘタだと批判されるのが怖い」


「間違ったことを言って、糾弾されるのが怖い」


「無反応だったときが怖い」


という恐れです。


なので、失敗して嫌な思い・恥ずかしい思いをするよりも、批判されない・間違わない側にいたいと思うのです。


しかし、それ自体は、自己防衛本能ですので、まったく緊張
しなくなるというのは、逆に危険なのです。


理想的には、緊張してガチガチでもなく、リラックスしすぎて
気の抜けた状態でもなく・・・


ほどよい緊張感がある状態。



トリノオリンピック開会式で歌った、世界で最も有名な
オペラ歌手の一人であるルチアーノ・パバロッティ氏いわく、


『舞台を恐れる気持ちは大切です。
恐怖を乗り越えるには、楽観的に構えることです。


しかし、舞台への恐れは必要です。
プロとしての責任を果たすためにね。』


という言葉を残しています。



それでは、どうすれば、そういう状態に至れるのか。


一番確実な状態は、本番に向けて、自分が思いつくあらゆる
準備を、


『具体的に』


やりきってしまうことです。


『具体的に』


ということがキモです。


具体的には、この質問を自分に投げかけるのです。


『本番当日リラックスして最高のパフォーマンスをする
ために、今からできることをあげるとするならば、何か?』



そして、そこで出てきたアイディアを、確実に実行すること。


ポイントは、出来ないアイディアをイメージしないことです。
つまり、本番まであと1週間だとした時に、
『イタリア本場にいって巨匠に指導受けてくる!』
とか
『100回発声練習する!』
とか。


現実的に、できることを具体的にあげるのです。


これをやり切って、それで失敗するのなら、それはしょうが
ないと割り切れます。


しかし、出来ることがあったにも関わらず、それをやらず、
後悔するというのがよくないのです。


準備をやりきったという達成感が自信につながり、本番での
緊張感をほぐしてくれるのです。



という、王道を歩んだ方にだけ、やっていただきたい本番前
の緊張緩和テクニックも書きます(笑)


それは、インカンテーションです。

『私は、歌そのものである。』

『私の声は、観客全員の意識を代弁している』

『私は、世界最高の歌手である』

という、私は●●である、という言い切りの言葉を、前日の
夜から連呼するのです。

なるべく大きな声のほうがいいです。


これは、スポーツチームでは既に取り入れられている手法で
して、サッカー日本代表も、本番前から実施していたようです
ね。


いわゆる、自己暗示です。

効果は絶大。


ぜひお試しあれ!


by相川陽介