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ルートB

通行人Bのなんとなく通ってきた道のりの文章


いつも通りの起床。同じ色の電車に乗って、三号車の優先席隣のドアに君は同じ時間に立っている。今日が最後になってしまうとは思ってもいないだろう。頭の中で想像する君の顔を、挨拶をしてくる君の顔に重ねて思わず笑みがこぼれた。やっとこの世界とお別れができる。その喜びを決して悟られぬようにしようと必死で隠し続けなければならない。今日は大事な別れの日。

騒がしかった日常は全て色を変えて、また違う世界をみせてくれる。揺れる草木も普段は視界にいれても見ることはないのだろう。それは少し微笑むようにこちらをみて揺れている。そんな気がした。流れる水の音も、人が歩く音さえも、すべてが自分をみていてくれるような気がした。

一日というのは最後であってもなかなか早く終わろうとするものだ。太陽はもう頂点を越えて、影は伸びていく。隣にいる君は一体なにを思って僕をみているのだろうか。毎日同じようにしていて気づいてはいないのだろうか、なんて隠してる側が相手に与えるエゴをわかってもらおうなんて度がすぎてる。いくらなんでもそれは叶わない。


終わりというものに悲しみは感じない。別れというものもそうだ。いつかは別れる事になる。ただそれだけのこと。

「君の事をいつまでも想っているよ。」

隣にいる君は少し赤くなって微笑んだ。
「わたしもよ。」


君が泣く原因を作ってしまうのはにはいろんな理由があった。僕は体が悪い。もうかなり前から知っていた別れ。その朝はいつもと違うのも身体が教えてくれていた。立ってるのがやっとだった。笑うのもやっとだった。歪んだ事を考えれば全てが楽になると思っていた。一人になると違っていた。

そろそろ時はやってくる。別れの時だ。手紙は前に書いておいた、君だけへの想いを綴って、笑いあった事を思い出しながら書いた手紙。

ゆっくりと目をつむるとそこには君がいた。こっちをみて笑う君がいた。なんて幸せなんだろうと思った。こうやって幸せを感じて生きて別れるというのは最高の時間だったのだろう。

「おやすみ」