ベロ出しチョンマの人形についてお話しします。

 

『歌楽 ベロ出しチョンマ』は斎藤隆介さん原作によるオペラですが、

「千葉の花和村にベロ出しチョンマというオモチャがある」という語りで始まり、

「千葉の花和村の木本神社の縁日では、今でもベロ出しチョンマを売っている」という語りで終わります。

この作品を上演するにあたり、本物の人形を探して、できれば手に入れたいと思いました。ところが、いろいろ調べてみると「ベロ出しチョンマの人形」も「花和村」も「木本神社」もどうやら実在しないようでした。作者の斎藤隆介さんが「すべては自分の創造である」と語っているのです。

 

物語の中に人形を登場させずに演じることは可能で、これまでそうした演出の上演を観たこともありましたが、今回はこの人形を是非登場させたいと思い、舞台監督の角田さんにお願いして製作していただくことになりました。

 

これがその人形です。

 

「背中の輪を引くと眉毛がハの字に下がって、ベロッと舌を出す」と語られますが

今回はその仕掛けを見せる必要はなかったので仕掛けなしのチョンマ人形です。

 

舞台ではこのように登場しました。

 

本来はまったく関係のない第二部の『昔噺 人買太郎兵衛』にもチョンマ人形は登場しました。

今回上演した二つの作品に共通する「封建社会の中に生きた名もなき人々」を繋ぐ一つの象徴として、この人形を登場させました。

旅先で子供への土産として買った「チョンマ人形」を、太郎兵衛がふろしき包みの中から取り出して「おかしゅうて、くやしゅうて、なつかしゅうて、辛い思いがあるわ」と歌うのです。

 

終演後にロビーでお客様にご挨拶をしておりましたら、お客様のお一人が歩み寄ってこんな人形をくださいました。

 

恐らく、ベロ出しチョンマのお話が有名になった後に作られたものだと思います。

こちらは紐を引くと眉毛と舌が動きます。

大切にさせていただきます。ありがとうございました。

 

上演に先立って「人形操りの祖神・芸能の神・子供の守り神」という神社を見つけて

チョンマ人形とともにお参りをしました。

 

短い時間でしたがチョンマ人形とともに過し、本番の舞台に立てたことはとても幸せでした。またいつかともに舞台に立てればよいな、と思っております。