※あんまり怖くないです。そして、やたらと長ったらしいです。
中学3年の夏頃の、ちょうど夏休み前の、期末テストの時期の事です。
ウチの家が山を削って道を作って建てた、マンション染みたアパートです。
なんか昔の建物みたいな感じがはんぱない感じの。
そして、終いには、ウチの当初の実家って、一番奥、かつ一番上のほうにあったから、上りの曲がり道を通さないと家に辿り着けなかったんですよ。
そして、夜中だと曲がり道が多いと事故ったりするじゃないですか。前方不注意で。
だから曲がり角のところにが必ず反射鏡があるんです。あのでっかくてまん丸な鏡が。
まぁ、実家の構造はこれくらいにして、
で、そん時は成績もあんまりよくなかった事と、あまりにもダラケ癖が酷かったって事もあって、
親の言いつけで塾に通ってたんですよ。
で、試験期間だから、当然塾で夜遅くまで勉強するんですね?
それで、塾の先生の車で、友達何人と一緒に送ってもらう事が毎日続いてたんです。
そんなある日、
その日も夜中の10時半くらいまで勉強して、
家に帰る途中で、他愛もないことを話し合って、
時には友たちと先生の話を聞いて家に着くのを待って
正面を凝視してたんですよ。
そんな時、俺の家にのぼり、曲がりして行く最中に、
なんかやたらと重そうなゴムタライを頭に載せて、それを両端を掴んだ状態の、
もんぺ姿のおばさんが車とは真逆の、つまりアパートの入り口の方向へと
降りていく姿が見えたんです。
その時間(車に付いている時計に表示されてる時間は夜中の11時の10分前くらいです。)にそんな人が見えるはずもなく、
「あれ、おっかしいな...」と思った俺は、
あんま速度がなかったこともあり、振り向いたら見えそうだったから
見たんです、そしたら、そのおばさんの姿はおらず、
ぎょっとした俺は、隣で運転していた先生に、
「先生。さっきのおばさん、見ました?」
って聞いたんです。
そしたら、その先生の返事が、俺の背筋を震わせるものでした。
「うん?おばさん?なんのことだ?私は見てないぞ?」
先生の返事に若干ビビった俺は、
後ろの席の、ちょうど窓際にいた友達(女の子)にも同じ事を聞いたんです
「なぁ、おばさん見なかったか?もんぺ姿で頭にゴムタライ乗せて歩いて行ったんだが。」
そしたら、その子もまったく同じ返答を返したんです。
「そんなわけない」って「確かに過ぎて行ったじゃん」って言っても、
だれも信じず、
終いには
「疲れてるから幻でも見てたんじゃないの?」とその友達に言われ、
さらに怖くなった俺は、でも場の雰囲気を悪くしたくなくてそれ以上見たことの主張も出来ず、黙々と家に着くまでなんも話さなくなったんです。
で、家に帰ってから、両親にまったくの同じことを言っても、
「裏山からそういう人が下りてきても不思議ではねぇだろ」と、
「だから余計なこと気にしねぇで早う寝ろ」とどやされて、
遣る瀬無い気持ちで不貞寝してしまったことがありました。
あの時、俺が見たのって、何だったんでかね?
両親が言ってた通りの、たまたまその時裏山から下りてきたおばさん?
それとも何か俺に訴えたい事があった幽霊?
今になっては、その正体を明かす術もありません。