九月、三度目の更新。

アレなので二度目の更新と一緒にしました。

 

『82年生まれ、キム・ジヨン』

著:チョ・ナムジュ

訳:斎藤真理子

 

春位かしら、話題になって探した。

ジュンク堂にも並んでいました。

ようやく読めました。

 

これは・・単に男尊女卑、の一言では片づけられない。

とゆうか男尊女卑自体、一言で片づけてはいけないのですが。

小説の中の話だけれども、事実や統計に基づいた話。

 

主人公のキム・ジヨンの幼少から現代までが書かれている。

幼少の頃というか、主人公の母親の人生にも触れている。

女という性別に産まれた人間の歴史が。

 

ここまで酷いのですか、女という性別に産まれた人間の人生。

フェミニズムという単語がある自体、アレ。

 

男の性別に産まれた人間の功績は、その人の功績。

女の性別に産まれた人間の性犯罪被害は、その人の落ち度。

このような感じで書かれています。

 

実際、男の性別に産まれた人間は、ご飯は最初によそってもらえて

おかずも多く、姉妹が過酷労働で得たお金で大学に進学するという事実。

性犯罪に関わらず、犯罪は、加害者が悪いのではないか。

 

うーん、加害者という単語を使うと正確な表現が難しくなる。

悪事、他人に危害を加える奴。

(危害を受ける危険があるから反撃して相手が負傷死亡したのは罪になるのか解らんけれど、

誰だって、襲われたら自分を守る行動をするだろう)

空き巣、通り魔、強盗など。

被害者が、その場に居る(居ない)のが落ち度なのか?

置き引きやスリなど、そこに置いた人の落ち度なのか?

社会情勢がナンチャラで治安が悪いので注意警戒しましょう。

最後は個人の責任か。

 

クソッタレな状況が多々出てくる。

私は今まで小説を読んでいる時、ミステリーの凄惨な事件描写が辛かったけれども。

これは、この作品の描写は所々、苦しいです。

 

優秀で、会社でも難しい仕事をクリアしてきた主人公。

実際は、女は産休時に会社を辞めるから(辞めてほしいから)わざと難しい仕事を与える。

男は長く居てほしいから易しい仕事を与える、しかもこちらの方が高給。

日本と韓国だけの話じゃないだろうな。

 

印象に残った言葉がある。

法律や制度が価値観を変えるのか、

価値観が法律や制度を牽引するのか。

多分、両方あると思う。

 

法律とかその他、最初は男性が作ったと思われるので

男中心になっている、色々な事というかほぼ全てが。

それを男女平等に持って行こうとするのは、

文明やら経済やら幸福の権利やら

知識や常識や人格を持っている人なら、当然だと思う。

 

けれども柔軟な思考や想像力を持っていない人は、きっとそれが

億劫とか面倒とか恐怖なんだろうな。

自然淘汰。

 

ご自分の娘さん(パートナー、姉妹、母親)が、同じ想いと体験をしたらどう思う?

そうゆう事を考えられるような男性は、貴重なのでせうか?

 

辛くて苦しいけれども、韓国にはこういう事実がある。

「そうゆうものだ」と思って育ってきているので、中々反論の声を上げない。上げられない。

韓国だけじゃない、日本も日本社会も。

 

けれども、違う。今の社会が満点完璧完全ではないのです。

いつの時代だってそうだよね。

葛藤やら矛盾やらから、芸術が生まれている筈筈。

 

私、心身ともに疲弊した模様。

 

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今月、二回目更新。

予想外に本の順番が回って来たので。

 

『むらさきのスカートの女』

著:今村夏子

 

これは・・面白かったです。

芥川賞受賞作品。

 

これは一言で表すと・・

むらさきのスカートの女のストーカーの話??

 

スカートとストーカーを掛けたのかな?

 

ある街に居る、むらさきのスカートの女。

むらさきのスカートの女とは?

 

語り手(主人公?)は毎日毎日、むらさきのスカートの女をよく見ている。

最初は紹介程度だった。

けれども段々、むらさきのスカートの女の私生活に詳しくなってゆく。

そう、語り手は、むらさきのスカートの女と友達になりたいと思っている。

語り手が、むらさきのスカートの女と友達になる為に選んだ手段とは・・。

変化してゆく、むらさきのスカートの女。

そして語り手のゆく道は・・。

 

独白体で書かれているので、好きなの鴨。

リズムが良いのですらすら読めます。

昔読んだ朝倉かすみ著の『ほかに誰がいる』を思い出した。