
今朝、ホームレスの空想力とハートレスの実行力が勝負した話。
駅前の大通りで信号待ちをしていた私の目に入ったのが、その男だった。
昨日までの気温2~3度という寒風は少し和らいだけれど、なお手はかじかむほど。
男は花屋の隣の喫茶店のサンプル・ウィンドウの前で佇み、ひたすら目を凝らしている。
風采はといえば、全身黒い。異様に黒い。
黒くないのは手で抱えている大きなベージュの枕だけ。
黒くないのは手で抱えている大きなベージュの枕だけ。
干からびた長髪にあごヒゲ、ズボンの裾は地を引きずって裂けている。
彼はきっと仕事も、住むところも無くて、夕べは寒空の下で寝て、
今はただ空腹でたまらないのだ。
サンプルを眺めることで、ご馳走を一杯食べているイメージを描いているに違いない。
昔は優雅なグルメだったかもしれない。
彼はきっと仕事も、住むところも無くて、夕べは寒空の下で寝て、
今はただ空腹でたまらないのだ。
サンプルを眺めることで、ご馳走を一杯食べているイメージを描いているに違いない。
昔は優雅なグルメだったかもしれない。
風呂や洗濯は辛抱できても、空腹は勝てない。
こんなに気の毒な人を見て私は、素通りしてもいいのだろうか?
こんなに気の毒な人を見て私は、素通りしてもいいのだろうか?
などとその男のことが気になって、私はふた信号を見送ってしまった。
「じゃぁ、喫茶店に連れて入るか?
それとも食事代をそっと渡すか・・
それとも食事代をそっと渡すか・・
いやいや外見だけで人物を決め付けて、失礼を押し付けたら逆に傷つけるかも」
「よし、ウチにある買い置きの食パンを取りに帰って彼にあげよう!!
買いすぎたのでといえばいいのだから・・」
買いすぎたのでといえばいいのだから・・」
と私は往復6分小走って、袋詰めのミルク1瓶、食パン1本を小脇に抱えて、息を切らして喫茶店前まで戻ってみると・・・。
男がいない!!
そうだよね、あれから10分以上も経ったのだから・・
もうウィンドウのものは食べつくしてしまったのかもね・・。
もうウィンドウのものは食べつくしてしまったのかもね・・。
結果として何もできなかった私は、ハートレスと同じことに・・。