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ニートの僕が子育てをしたら

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第三章 二ートの僕が子育てをしたら 最終話
大きな大きなプレゼント(前半)


「ガチャ」


ダイゴ先生だ。


「今日は最後の研修だ。長いことお疲れ様。どうだったか坂上?研修を受講した感想は」


そんなダイゴ先生の問い掛けに、


「本当に素晴しい講義をありがとうございました。最初はとても不安でしたが、ダイゴ先生と三上さん、今野君のサポートがあったおかげで多くのことを学ぶことができました」


と答えると、


「そうだな。お前はよくがんばった。お前のことをマイヅル先生が推薦した理由が良くわかるよ。ただ、これからだぞ!勝負は」


ダイゴ先生の励ましの言葉に僕は身を引き締めた。


「三上はどうだ?」


とダイゴ先生が言うと、


「本当に素晴しい講義でした。ビジネスの世界の厳しさやおもしろさが凝縮した講義だったので、あっという間に時間が経ったような気がします」


と三上さんが答えた。


「そうか、それはとても嬉しい感想だな。お前のような美人にそう言われると。なにせ俺は女性には人気が無いから」


というダイゴ先生の話に、僕達三人は思わず笑ってしまった。


「今野はどうだ?」


今野君が真面目な顔をして、


「本当に凄い授業でした。僕は二人のように結果を残すことはできませんでしたが、これからの人生で取り返したいと思います。先生に学んだことを活かして」


ダイゴ先生は、


「心配するな。お前も必ず成果を出す時が来る。なぜなら、お前はこの講座を受講して、随分大人になったぞ。そして考え方が深くなった。大丈夫!お前ならやれる」


ダイゴ先生の励ましに今野君が、


「ありがとうございます。なんか嬉しくて涙が出そうです」


と今野君が少し涙ぐんでいる。


「そうだ。お前らは自信を持って、これから本格的にビジネスに取り組んで欲しい。働くことは生きるうえでとても重要なことだ。毎日きちんと計画を立てて、 実行し成果を出す。人生はこの繰り返しだ。ビジネスもな。意味なんてものは無い。ただそれを実行するかしないかだけだ。実行すると、光の当たる世界で生き ることができる。何もしないでいると一生ぼやくだけの人生になるだけだ。どちらを選択するのかはお前ら次第だけどな」


とダイゴ先生が僕達の顔を見る。


「そこでお前らに話がある。お前らは今までバーチャルパレンツの世界でビジネスの体験を重ねてきたな。これからはお前達が生きる現実の世界でビジネスに取 り組んで見ないか?現実の世界でビジネスに取り組む覚悟があるのであれば、俺がある会社にお前ら三人を推薦する。どうだ?」


そんなダイゴ先生の突然の申し出に僕達は驚いた。
すると三上さんが、


「本当ですか?もしその話が本当なら私が今勤めている会社を辞めます。ダイゴ先生が勧める企業なら安心して頑張れますから」


と言うと、


「私も頑張りますので、ぜひ宜しくお願いします。よし頑張るぞ!」


と今野君も凄く乗り気だ。


「坂上お前はどうする?」


とダイゴ先生が僕に聞いた。



「はい。僕もお願いします。現実世界の僕は部屋に引きこもり、何も持たない人間ですが、ダイゴ先生に学んだことを現実の世界でも活かしてみたいと思います」


と答えると、


「よし、わかった。推薦状を書いておく。お前ら三人力を合わせて頑張れよ。俺の教えたことを応用して、日々を積み重ねれば必ずトップビジネスマンとして評価されるようになる。これは自信を持って良い」


そんなダイゴ先生に、


「あのう……一つ質問しても宜しいですか?」


と三上さんがダイゴ先生に質問をした。


「なんだ?三上」


とダイゴ先生が聞くと、


「どんな会社なのでしょうか?」


と三上さんの質問に、


「そうだったな。言い忘れていた。仕事は《ブレインゴールド》の営業だ。まぁ他にも商品はあるがな。基本的に今まで経験したことを大いに活かせる仕事だ」


僕達三人は驚いた。
現実の世界に於いてもブレインゴールドが存在するなんて。

確かに現実に存在していてもおかしくない。このバーチャルパレンツの世界に入る時も僕達はブレインゴールドを飲んでいた訳だから。


三上さん、今野君も少し状況を飲み込めない顔をしている。


「バーチャルパレンツ社はバーチャルパレンツの世界だけでなく、お前らのいう現実世界にもちゃんと存在している会社だ。実はこのバーチャルパレンツの世界 は、バーチャルパレンツ社の資金が元となって作られた世界でもある。世界でも名だたる会社だぞ。良かったなお前らはそんな会社に勤めることができて」


とダイゴ先生が笑っている。


バーチャルパレンツ社は僕達が実際に生きている世界にも存在する。
その事実に僕はとても驚いた。


そして、この僕が現実の世界で働くことになることも。


十年もの長い間、部屋に引きこもっていた僕がこれから人並み以上の会社に就職して仕事をする。こんなことを誰が想像することができただろうか。


僕の母親だって、僕が仕事をするって言ったらびっくりするに違いない。
父親だって信じないだろう。


僕がバーチャルパレンツ内で子供を持ったり、様々な経験を積んだことなんて僕にしかわからないことだし、実際に現実の世界に生きる僕は世間の人からすると何も変っていないように見えるだろう。


そんな僕が現実の世界でこれからビジネスマンとして仕事をする。
そうだ!僕の人生は確実に変化している。


現実の世界の僕は他人から見て何も変らないように見えるけど、僕の中ではすでに世界は変化しているのだ。そう、僕の中では様々なことが変っていることに確信が持てる。


岬の父親であることや大津島での体験そして山田君という親友が持てたことと、ダイゴ先生のビジネスセミナーでの体験や三上さんや今野君そして高橋さんという仲間と出会えたことで、僕は確かに変った。
何度も言うように、現実の世界の僕は他人から見たら何も変っていないけど、僕は確信がある。

そう僕は変った。

(つづく)