二ートの僕が子育てをしたら (番外編)
今野君の気持ち
それから三人はしばらくパブリックガーデンを歩いた後、ランチをすることになった。お店は今野が事前に予約した店でイタリアンのお店だ。
三上が、
「へぇ、今野君ってお洒落なお店を知っているんだ。いつもどこかの女の子とここで食事をしているんでしょう」
と意地悪く言うと、
「そんなこと無いよ。おいしいからよく一人で行くんだ」
と今野が照れながら三上に答える。
ここだけの話だが、実は前日に「パブリックガーデンお勧めのランチデート」という若いカップル向けのマニュアル雑誌で知った店だということは、今野君の名誉のために伏せて置こう。
こういう分野に疎い隆は、
「今野君はお洒落な人だから色んなお店を知っているね」
と素直に感心している。
三人はお店に入り、パスタやサラダそして魚介スープを注文した。
三上が女の子らしく二人に料理を取り分けている。
今野が茶化すように、
「へぇ、三上さんってそういう一面があるんだ」
そんな今野の言葉に、
「さっきから言っているように、私だって仕事のことばかり考えている訳ではないのよ。白馬の王子様を待っている一人の女の子なの」
と隆にサラダを取り分けている。
「三上さんは男性にモテそうだよね。かわいらしいし」
と何気なく隆が言った言葉に三上がまんざらでもない顔をしている。
そんな二人を見た今野が突然、
「ごめん。俺ちょっと急な用事ができたから帰るわ」
とバタバタしながら席を立ち店を出て行った。
三上と隆は突然のことにびっくりしている。
今野は店を出て、
「俺は一体何をしているんだろう。二人のことを考えて企画したのに、どうしてこんなにイライラしているのだろう」
何だかわからない胸のモヤモヤに今野が戸惑っている。
そして三上と隆も今野が突然店を出て行ったことに困惑している。
隆が、
「今野君どうしたのかな?」
と三上に聞くと、
「うん。私もわからない」
と三上も隆と同じ気持ちらしく首を傾げている。
「まぁ、せっかくだし食べましょう」
「そうだね」
と三上がパスタを器用にクルクルとフォークに巻きながら口に運ぶ。
そして一通り食べ終わると、
「けどさ、坂上君もあの大津島のプログラムで随分鍛えられたみたいね」
と三上が隆に聞いた。
「うん。随分鍛えられたよ。最初はどうして良いかわからなくて眠れなかったもん」
隆の言葉に、
「男の人ってちょっとしたことで魅力的になるんだね。あのプログラムの後の坂上君には少しドキッとしたもの」
そんな三上の積極的な言葉にたいして、
「僕には良くわからないけど。そんなものなのかな」
と隆は三上の気持ちに、まったく気づいていない様子だ。
本当に天然という言葉はこの男のためにあるのだろう。
それから二人は料理の後のコーヒーを飲み終えて公園内を歩くことにした。
「ねぇ、坂上君は女性に好意をもったことがある?」
と恥ずかしそうに三上が隆に聞いた。
隆は、
「あぁ、ダイゴ先生の好意のパワーの話だよね。高橋さんの件については考えて行動した訳じゃないから良くわからないのが本音なんだ。でも、高橋さんのことは人間的に尊敬する人であることは間違いないよ」
と隆はトンチンカンなことを答えるが、皆様にもわかるように三上は高橋さんのことを隆に聞いた訳ではない。本当に隆はウルトラ級の天然のようである。
そんな隆にたいして三上はじれったそうに、
「そうなんだ。じゃあ、私にたいしてはどう?」
と、この鈍い隆という男にでもわかるような直球を投げた。しかも目を見つめながら……。
隆は一瞬声に詰まりながら、
「三上さんはおもしろい質問をする人だね。三上さんと話をすると元気になれる。僕にとってははじめての女性の友達。緊張しないで居られる友達だね」
と三上の心を踏みにじるようなことを平然とした顔で言う残念な隆。
三上は隆のそんな言葉に少し落ち込んでいる様子だった。
それからしばらくして二人はそれぞれパブリックガーデンを後にした。
三上は溜息をつきながら、手元にあるパソコンのメールボックスを開いた。
「ごめんなさい。急に出て行ったりして、突然の用事が入ったんだ。ところで二人のデートは上手く行きましたか?」
と今野からメールが届いていた。
三上は、
「デート?そんなんじゃありませんよ。別に坂上君は彼氏じゃないし。変な気を使わないでね。私達三人は同じ目標を持った研修生仲間なんだから。
追伸 でもありがとう」
と今野にメールを返信した。
今野はそんな三上のメールを見て、申し訳ない気持ちとホッとした気持ちが織り交ざりとても複雑な気分になっていた。
今野は三上のメールに再度返信した。
「俺も三上さんに魅力を感じてもらえるような男になりますので、今回のことは許してください」
さて、この二人の関係はどうなるのか?
皆様のご想像にお任せします。
(終わり)