どうも。novutakaです。
「介護職には一般常識が通じない」とか、
「介護職は社会人としてのマナーが分かってない」とか、
酷い場合だと「介護職って、何か欠落してる」とか。
とにかく、この業界に居るとこういう愚痴をよく耳にする。
そしてこれを言うのは他でもない、介護事業を経営する立場の人だ。
かくいう私もその一人だし、
過去そういうことを思ったことが無いわけでないが、
これは情けない話だ。
では、何故そのような状態になってしまうのかと考え、
僕はその原因が介護職が片親だからなんだという結論にたどり着いた。
もちろんそれは実の両親の事を言っていることではなく、
社会人としての「親」の話だ。
人間に父と母という2種類の親がいるように、
社会人にも2人の親がいる。
それは「会社」と「客」だ。
社会人は学生を卒業し、
社会人となってから、この立場の違う「両親」に育てられる。
叱られたり、褒められたり、場合によってはその両者の間をとり持つことをしながら成長していくのだ。
その中でいわゆる「一般常識」だとか「社会人としてのマナー」というやつが身についていく。
では、介護職にとっての「会社」と「客」は何なのか。
「会社」は会社そのもの、あるいは施設・事業所であり、
そして「客」はそこを利用する高齢者だ。
まずこの「客」側の親の部分に大きな問題がある。
そもそも業界的に介護施設を利用する高齢者のことを「客」と呼ばない。
ほとんどの場合「利用者」と呼ばれる。
なんなら、「客」と呼ぶことに強い抵抗感を覚える人も少なくないのだ。
そういう部分から業界的に
「客」としての認識する文化がない。
また、事業所内においては、その「利用者」のことを
「○○ちゃん」等のちゃん付けやあだ名で呼ぶ職員もいる。
介護施設を使う利用者は前提として
認知症等の疾患のが患い、一人では生活をすることが出来ない「要介護者」であるから、
施設内で支援をする側の職員側にパワーバランスが傾いてしまう。
もちろん利用者も職員を「叱る」ことも「褒めることも」あるのだが、
これを受け取る職員側がまともこれを受け取らず、
極論、それらの言葉を「症状の一種」と捉えてしまうことが多い。
認知症を患った高齢者が相手の場合、この傾向は顕著になる。
そのような理由から「客」としての親の機能が失われ、
これが、片親状態を生んでしまう。
更に、この介護業界は慢性的な人手不足の状態にあり、
多くの経営者が恐れることは、「職員の離職」だ。
すると、残った唯一の親である「会社」すら、
「厳しいことを言ったら辞めてしまうかも...」という心理が働き、
「言うべきことも言えない親」となってしまう。
これは親としては致命的だ。
つまり、多くの介護職は社会人として片親で、
その片親も甘やかし放題という状態の家庭で育つことになってしまう。
結果は容易に想像できるだろう。
これがおそらく
「介護職には一般常識が通じない」「介護職は社会人としてのマナーが分かってない」
という状況を生む根っこの部分にある原因だ。
もちろん、だからダメ、仕方がないということではなく、
これを経営者は正しく認識し、それに対応する必要がある。
そもそも片親にしない(利用者を客として捉える)仕組みつくりや
そしてもう1人の親である自身が立派な親であるのかと
自身の行動を振り返ってみるべきだ。
それをせずに、あたかも介護職の能力が低いかのように愚痴るのは絶対に違う。