「当たっているからこそです」。愛工大名電の倉野監督は、試合の流れを引き戻したシーンを振り返り、迷わずそう答えた。
6回1死二、三塁。この試合3打数3安打、2本の二塁打を放っている1番木村に倉野監督が送ったサインはスクイズ。まったくノーマークだった履正社は、完全に不意を突かれ、中押し点を許した。
追い上げていただけに、この1点はそれ以上の心理的ダメージを履正社に与えた。走者は出すものの、気ばかり焦り、愛工大名電の浜田をとらえきれず、それが投手陣にも影響。終盤は一方的な展開となってしまった。
準々決勝の相手は昨秋、明治神宮大会で1点差で敗れた光星学院(青森)。
学校は今年、創立100周年の記念の年。野球部にも大きい夢を託している。「光星学院ともう一度甲子園でやれるのはうれしい。100周年なので勝ってくれ、という周囲の期待に応えたい」と倉野監督。リベンジの一戦は31日だ。