$ベートーヴェン  ヴァイオリン協奏曲 Op.61

01年から仙台市が開催している、「仙台国際音楽コンクール」。

帯文によればこの演奏は、2010年5月、6月に行われた、
第四回コンクール・ヴァイオリン部門での、
ライブ音源だ。

技術面では「おっとっと…」という箇所が見受けられ、
演奏も言ってしまえば浅く、未熟さは否めないが、どっこい、
遠慮のない思い切り、勢いがあり、聴いていて爽快な気分になれる。
これは純粋に、若さをそのまま演奏に乗せているのだろうが、
コパチンスカヤのように、曲を軽く見ていないので、憤りもない。

わかりやすく言うと、自分の子供の運動会で、
応援している親の気持ちがわかる、
そんな演奏だ(私自身結婚もしていなければ、子供もいませんが)。

録音も残響が少なく、良好。

再現芸術として聴けば、ハーンの20代の頃の足元にも及ばないが、
一つハードルを下げて聴けば、文句はないし、
なによりも音楽として聴いていて楽しいことは間違いない演奏だ。
$ベートーヴェン  ヴァイオリン協奏曲 Op.61


グーグル検索するとまっさきに、
ひょうきんな笑顔が出てくる、
一見すると随分いい加減なおっさん。

しかし騙されてはいけない。

ライブ音源にもかかわらず、
これが随分と素晴らしい演奏なのだ。

テクニックは申し分ない。
スタイルは典型的なロマン奏法だが、
そこに主観性は感じられず、
ヘンなこぶしも、溜めもない。

この曲をこの人なりに勉強して、
何周かした上でのことなんだと思う。

印象的には、ミルステインの二回目の、
バッハ無伴奏全集に近い。

とにかく引き込まれる。
録音も素晴らしい。

音源は、
ポーランドの国営レコード会社の老舗レーベルCD。

狙って探すと難しいが、
たまたま見つけたら、迷わず買うべし。
ベートーヴェン  ヴァイオリン協奏曲 Op.61

気高いミルステインにしては、
珍しく荒々しい演奏である。

悪く言えば、大雑把な印象を受ける。
故に、この曲向きの演奏とはいいがたい。

ただ59年という年は、EMIでスタインバーグと
バチバチの名演を残していた時期にあたるので、
キャリアの中ではもっとも脂の乗った、
働き盛りのミルステインの演奏と言っていいだろう。

指揮は、ユージン・オーマンディ。
ストラヴィンスキーやチャイコフスキーといった、
繊細なロシアの作曲家たちを、
大胆にザックリと演奏する人だ。

大雑把な印象は、
この人の指揮によるところが、
実は大きかったりする。