私の同級生のお父さんは少し認知症の気配はあったというが毎日車の運転をしていたのにある日突然行方不明になった。
スポーツサークルに行くと小銭入れを巾着に入れいつも変わらぬ様子で徒歩で出かけたが、現地に行っていなかった。
バイクと車以外、バスや電車に乗ることのないお父さんが公共交通機関を使うことは考えにくいといいながらも家族は警察に行方不明の届出をした。
写真入りのチラシを貼ったり配ることはお母さんが嫌がりできなかった。
結局一年以上過ぎた頃に警察からお父さんかも知れない遺体が発見されたと連絡がきた。
服装や腕時計、何より靴下を2枚ばきしていることでお父さんに違いないと思ったと友だちは言った。DNA鑑定の結果、お父さんだとわかった。
対面も叶わず、小さな棺に別れを告げ荼毘に伏しあまり実感もわかないと話していた。
母ともサークルで交流のあったお父さんで年齢も同じ、認知症の症状は母よりずっと軽いようだったのにある日突然帰れなくなった。
足腰が丈夫な母には他人事ではなかった。