◆月蝕のエゴイスト - 愛しすぎて、壊したい -~ 白濁の空 ~
CV:藤原 玄音=鳥海浩輔
難しいシナリオでした。
でも、雰囲気が凄く良い。
静かな夜の闇のように流れる。
今まで聞いた中でも、一番、鳥さんに合ってたよう。
亡くなった弟・・玉衝(たまより)の独白から始まる。
この弟の声は姉(リスナー)には聞こえない設定。
ストーリーテラーのような役目。
弟のお墓詣りの時に出会ったのが、藤原玄音(ふじわらのはるね)
笛の名手で、宮廷の楽士。癒しの力が玄音の笛にはあるようだ。
そこで倒れた彼女を自宅に運ぶ。
彼女に笛を教えるんですが、それがとってもリアルっ。
後ろに回って持ち方やら、吹き方やら、ドキドキもんです。
次第に彼女に執着・・独占欲から軟禁します。
原因は母親・・
ん~。ただね~、そんなに悪い母親とも思えなかったのよね。
なのでこの母のせいで、人格破壊を起したという設定は
甘いと思う。
彼の笛の音色は、癒しと恨みと混ざった両刃の剣
帝は、彼の笛で涙し、あるものは病が治ったという。
その逆も・・。
最期、彼女が息を引き取ろうとする場面で
玄音は、人を思う気持に気付き
自分の生命を掛けて癒しの音色で彼女を助ける。
ん~・・彼女は何時、彼を愛したのか・・
それとも同情か・・。
彼は己の命と引き換えに彼女を助ける。
彼女は弟の墓参りをする。
同じ墓地には玄音の母が眠っている。
そして彼も・・・。
・・やっと彼は大好きだった母親と一緒に居られる
此処なら母親を独占できる。
このシーンで、彼女を見ながら、結局
玄音は母親を見ていたんじゃないのかなと思った。
空に蝶が舞う。
彼の音色で助かった瀕死の蝶。
彼には助けられる力が備わっていたのに
使い方を間違い、彼女を縛る事になった。
縛る事を手放した彼は
自分の辛さからも解き放たれる。
この蝶が舞う場面で、終結したと感じる。
鳥さん、丁寧に演じたと言われていた通り
じっくり聞けて良かったです。
BGMも雅楽が流れていたり
ピアノの切ない旋律が流れて
良かったです。
ラストのピアノの旋律が結構長めに流れますが
余韻があって好きだった。