見るものすべてがただただまぶしく、異常な高揚感と充実感に包まれていた。

深い深い海の底にあるあのお城では、都合の悪いことは何も聞こえなーい、何も見えなーい。

美しい笑顔と優しい音色を奏でる声に、ときめいていればいいだけの毎日。

ああ 思い出すだけで涙が…
 

そんな奇跡のユニット、鯛とヒラメ(仮)のキレッキレダンスに狂喜乱舞しているうちに、月日は瞬く間に過ぎ去った。

現実って、容赦ないですね!

「オレ、こんなことばっかりしてていいのかなぁ…」

浦島君も途中何度かは、頭をよぎったことはあっただろう。

あったかもしれないが、なかったことにしておきたいのが人の心。

私だって気付いてはいたよ?

これは泡沫の夢だって。

いつまでもこんなこと続くわけないって。

いつか打ち上げられた波打ち際から見る景色は、焼け野原だってことも。


あの人は 行って行ってしまった。

あの人は 行って行ってしまった~。

泣きのコブシを利かせながら、力いっぱい歌いたい。

かの国は男子たるもの、スターといえど決められた期間、お務めを果たさなければならないなんて。

かの国の宝と言っても過言ではない彼等の、無事と幸福を心から願う。

だから、一刻も早く帰って来てーー!


「見ないようにしていた現実」という名の玉手箱を開けると、途端にモクモクモクモク。

あそこまで非道な展開にこそならなかったけれど、やはりしっかりきっちり5年分は老けていた。

仕事も辞めて、貯金も減って、体力もなくなってました!えへへ。

笑うしかない時があるのです、人生には。

微笑みかけてくれる(幻想)スターは不在だし、どうすればいいの、これから私。

けれど、焼け野原に寝転んで見上げる空は、案外 悪くない。

良いことも悪いことも、自分を支えていたものがなくなって、なんかもう清々しいほど。


そんなこんなで、またここに戻ってきました。

全然きらびやかではない方の、海の底のお城へ。