チケット転売について調べてみると、どうやらもっともらしい言い分があるようだ。

 

「転売は商社と同じ 転売を批判するなら商社も批判されるべき」

 

なんて言っているみたいなんだけど、これは明らかに間違い。というか商社に失礼。商社の仕事というと、安く仕入れて高く売るみたいなそれこそ転売のプロだという印象がある。しかし商社の本質はそこにはない。商社の本質は消費者や小売店、メーカーなどが様々な制約で入手しづらいものを代わりに買ってくるいわば「仲介」にある。

 

消費者や企業は様々な需要を抱えている。消費者は言わずもがな、企業やメーカーだって最終製品だけではなく原材料や素材など様々なものを必要としている。しかしそこで大事になってくるのは、その需要を抱えている者が必ずしも手に入れる手段を有しているわけではないことだ。例えば電池に使われているリチウムなんて普通の人にはどこから仕入れたら良いかなんて想像もつかないだろう。

 

そこで登場するのが商社だ。商社は世界中に様々な仕入れルートを持っている。商社の価値はそこにあるのだ。

 

要約すると、商社の社会的価値は

「世界中に様々な仕入れルートを持っており、そのルートを持ってない人に代わって仕入れる」ことにある。

 

そこで話は転売屋に戻る。一般的にチケットを買う場合、そのルートはぴあやイープラスなどのチケット販売会社から購入するしかない。それはコンサートにはキャパシティというものがあり、主催者がきちんと流通管理をしキャパシティ以上にチケットが流通することを防ぐためだ。だから他の製品などとは異なり、流通経路がごく僅かに限られる。

 

そしてもう一つ、その流通経路はあらゆる人がアクセス可能であるということ。インターネットや店舗で全てのチケットが捌かれており、消費者は流通ルートを持っていないなんて状況はありえない。

 

つまり、

「購入ルートを持たない消費者の代わりに商品を仕入れている」という転売屋の言い分は意味をなさなくなる。

 

結論として、

転売屋のやっていることは、流通ルートとその供給量が限られた商品に対し、流通ルートに割り込み法外な通行料を取る行為である。