別に美味しんぼの影響とかは無いのでしょうが、森消費者担当大臣が原発事故に伴う風評被害について対策をまとめると発表しました。

原発事故の食品購入への影響を調査へ NHKニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130208/t10015386481000.html


原発事故が食品の購入にどう影響しているのか、森消費者担当大臣は、インターネットを通じた消費者の意識調査を行い、その結果を踏まえて、風評被害を防ぐ具体的な対策をまとめる考えを示しました。

これは、8日の閣議のあとの記者会見で、森大臣が明らかにしました。
食品の風評被害について、消費者庁は先月、「食品と放射能に関する消費者理解増進チーム」を設置し、被害の解消に向けた対策を検討しています。
森大臣は、原発事故による食品への影響について、「消費者の意見や考えを吸い上げるためのインターネット調査を実施する」と述べ、先月設置したチームが中心となって、原発事故がふだん食品を買う際にどう影響しているのかや、食品に関わる放射性物質の基準値を理解しているのかなどについて、全国の5000人を対象に調査を行う考えを示しました。
そして「生産者や流通業者、食品製造業者などからも、原発事故の影響について聞き取り調査を行う」と述べ、インターネット調査と併せて結果を分析し、ことし4月をめどに風評被害を防ぐ具体的な対策をまとめる考えを示しました。



 前回のブログ記事でも書いたのですが、風評被害対策については根拠のないデマとそれを発信する人たちへどう対処するかが一つの大きな課題になると思います。ただ単に弾圧するだけでは反発されるのも当然ながら陰謀論の種を相手に与えるようなものだし、何よりそもそも表現の自由などを踏まえて規制を根拠付けるのが大変です。
 なので活動としては、そちらも注意しつつより正しい情報を集めて多くの人に見てもらうような事になるのでしょうが、それがちゃんと成果を上げるには恐ろしく困難な道のりが待っているだろうなとしか言えません。
 そう言うのは、農薬や食品添加物へのデマ・バッシングに対して業界が30年以上行ってきていることが、それほど大きな成果を上げていないのを見てきているからです。

 原発事故以来、関係するデマはTwitterを通してそれなりに見ていますが、ほとんど初期から感じていることですが放射能関係のデマのパターンや流れは農薬に向けたそれとほぼ変わりがありません
 もちろん初期の頃の風評被害の大きさはものすごかったのですが、2年ほど経って現在となるとだんだんこなれてきたというか、一般的には放射能にはあまり関心がなくなり、指摘されればその都度怖がるというような状態になってきたように思います。
 そうなったのが良い事なのか悪い事なのかというと、消費者に限ればたぶん仕方のない事だろうし、個人的には良い事なのだろうと思います。喉元過ぎればそれで良いのかという意見はあるでしょうが、事業者が教訓を持って励めば消費者の方はそこまで付き合わなくてもいいのではないかと思います。

 ただそれは、今の食品残留農薬が置かれている状況とほとんど似ているという点で大変です。
 残留農薬だって普段はほとんど気にされていませんが、たまにある基準超過での回収騒動や中国からの輸入野菜からたまに検出されるものが報道されるとその都度プチ祭り状態になり、コンビニ売りの安っぽい本やちょっとした健康系の雑誌に記事が出たり、「食べるな危険」のような本が売れたりするような、そんなことをこれまで幾度となく繰り返しているのです。
 食品からの放射性物質の検出は、新たな物質の放出がほとんどないので、今後緩やかに減っていくと思いますが、それでも何かの拍子で出てくることはないとはとても言えず、そしてそれが公表されるたびにいくつものデマが蒸し返されるのは避けられないでしょう。現在連載中の美味しんぼはまさにそれをそのとおり行っています。使い古された、反証済みのデマが知らん顔して繰り返されるのです。

 残留農薬のリスクについて、これまでいろいろな著者からたくさんの本が出版され、政府も農水省のウェブページなどでけっこうなボリュームの説明ページを作ったり、表示や農薬そのものの改良など、対策は様々に行われており、残留農薬での被害もほぼ皆無な状況にあって、それでも数十年前からほとんど変わらぬデマ情報を未だに話す人を簡単に見つけることができます。放射線被害についても全く同じレールに乗っているだろうと予想します。

 森大臣は消費者5000人に聞き取り調査を行うのもいいですが、まず残留農薬や食品添加物の世界でどのようなことが起きたか、起きているかを調査するのがいいと思います