ちょびっと前の話ですが、厚生労働省の木村盛世医務技官が口蹄疫問題に際して、ブログ及びTwitterで妙な意見を述べたことが話題になっています。


 話題のエントリは 口蹄疫問題を考える―危機管理の立場から―vol.4― ですが、簡単に言えば「口蹄疫が人体にも悪影響を及ぼす病気だという誤った認識が広まり、パニックになっている。が、口蹄疫は人にはうつらない。そもそもウイルス自体ありふれたものなのだから、いっそこんな過剰対応は止めてしまえばどうか」というようなことです。
 が、実際のところ、人体にも悪影響を及ぼすなどという認識はさほど広がっていると思えないし、食肉の消費量も減っていません。当の宮崎の肉だって、同情からむしろ買ってあげようという人もいるくらいで、木村氏の懸念は全く的外れです。殺処分等の対応も国際的に常識的なもので、それを止めろと言うのはむしろ異端です。
 詳しい批判はplecostomus1氏のブログエントリで丁寧になされていて、必読です。
木村盛世氏のブログエントリー「口蹄疫問題を考える―危機管理の立場から―vol.4―」に対する指摘


 さてそれとは別に、木村氏が言うように、日本が口蹄疫ウイルスと共存する道を選んだらどれほどの経済的損失に発展するのかの計算をしてくれた方がおられます。
Togetter-まとめ 厚生労働省の木村盛世医務技官が言うとおりに口蹄疫と共存した場合の簡単な試算


 それによると、かなり甘い計算の上でも、牛肉の価格は1キロ当たり約1906円値上がりし、牛乳にいたっては1リットル当たり約2226円も高くなるようです。私は計算の根拠を持っていないので想像ですが、たぶん言及されていない豚肉はもっとひどいでしょうし、これではとても手が出るものではなくなります。


 これらの数字は積み上げの試算であって、実際の小売ではおそらくもっと高くなります。まずもって売れなくなりますから、その販売リスク分をさらに上乗せしないとペイできないでしょう。あるいは小売店は食品の値上げを嫌がりますから、どこか(たいていは1次生産者)に泣かせて価格をさほど上げない可能性もあります。その場合は赤字がどっさり出ることになりますから、農家は廃業し、高いも安いもなく出荷自体がなくなります。


またウイルスが人に悪さをしなくても、人を媒介してうつることはあるそうですから、日本に口蹄疫ウイルスが蔓延していることが周知となれば日本人の入国を拒否する国も出てくるでしょうね。海外から日本に来る人も当然減るでしょう。肉の価格程度の話でもなくなります。


 と、言うようなことは誰でもわかりそうなものですが、木村氏はほとんど意固地になっているのか、最近のツイッターでも変わりない事を言っています。元首相みたいにコロコロ変わりすぎるのも問題ですが・・・。