この人たちはここまで馬鹿だったのか、としょっちゅう思う不思議。


47NEWS 「統合医療」推進へチーム設置 効果や安全性を分析
http://www.47news.jp/CN/201002/CN2010021101000315.html



 西洋医学に漢方や自然療法を取り入れた「統合医療」推進に向け、厚生労働省は11日までにプロジェクトチーム(PT)を設置、効果や安全性の本格的分析を始めた。推進は民主党がマニフェストで示した公約。鳩山由紀夫首相も初の施政方針演説で「積極的な推進の検討」を約束していた。


 統合医療は、中国医学やカイロプラクティック、アロマセラピー、心理療法、温泉療法など多岐にわたる「相補・代替医療」で構成。個別の症状に応じ治療法や薬を選ぶ患者中心の医療が期待され、薬剤コストが低く医療費抑制が見込めるのが利点に挙げられる。


 厚労省によると、こうした「医療」に関しては一方で、伝承による民間療法のように科学的根拠が乏しかったり、資格制度がない施術を患者が不安視したりする問題点も指摘されてきた。治療費も多くの場合、健康保険が適用されていない。


 厚労省は5日に関係部局によるPTの初会合を開き、2月下旬までに近年扱った統合医療に関する要望書や予算事業、研究課題などを抽出することを指示した。関係課は大臣官房や健康局、保険局などにまたがるが、当面の窓口は医政局総務課に置くことも決めた。



 一般的な医療を現代医療と呼ぶとして、それはもちろん、現代に突然現れたものではありません。いつを起源とするかとか、そういう定義があるのかは私は知りません。ヒポクラテスの誓いというものがありますが、仮に彼を医学の起源とすると2500年近くの歴史があるわけです。そしてさらに源流をたどるともっともっと古い所から来ているはずです。
 そしてそれくらいの昔から、古代の医師たちは治療・健康・長寿のためにありとあらゆるものを捜し求めてきたのです。不老長寿を真面目に信じ、妙薬の噂を聞けばいくら金を出しても探し回る皇帝もいました。現代、薬草だとか毒キノコだとかいうものが既知なのは全て過去から調査してきたからで、もちろん最初っから薬草辞典なんてものがあったわけではありません。で、長い年月の間に薬草の中のどの成分が効くのか、その成分だけを取り出すことは出来ないのか、というような工夫が積み重ねられ、現在は生の薬草など滅多に使われないわけです。


 当然、研究は自分達でイチから調べるものばかりではなく、地域に伝わる伝承だとか民間医療などを試したこともあったでしょう。あったというより最初はそれが主力だったかもしれません。その過程で、効果があるものが見つかると「医学」に組み込まれ、それを繰り返して現代医学に繋がるのです。


 もちろん「効果があれば、原理など何でも構わない」時代もありました。というよりかなり最近までそんな考えだったと思われます。Evidence-based Medicine根拠に基づいた医療という考え方が根付きだしたのはほんの30年前からで、そもそもこの言葉が成立したのは1990年だそうです。


 さて当たり前の話を長々としましたが、代替医療がなぜ本流たる現代医療に組み込まれていないままなのか?というのはつまり取るに足らないものだからなのではないでしょうか?
 まあ全部が全部そうとは言えません。が、不景気といわれる現代です。費用対効果を考えると、かなりの不毛地帯であることが簡単に予想できる代替療法分野をいちいち調べるのは、仮にわずかに成果があったとしてもものすごく割りにあわなそうだなあと思います。


 そしてもう一つ、ホメオパシーだとかなんだとかだって、一応ちゃんと調べている記録もあるわけです。ほかの代替医療だって、全世界の医学者達から全く無視されているものというのはそうそうないでしょう(もっともよっぽど取るに足らないものなら無視されるでしょうが)。そういうものを「再調査する」ということは、厚生労働省(に民主党が作らせる)プロジェクトチームは過去研究に従事した各国の医師たちを全く信用していない、そして彼らなどより遥かに上の能力を以て代替医療にエビデンスをつけて見せると豪語しているわけです。なんともまあ不遜な方たちです。


 ところで、ウィキペディアでヒポクラテスの項目を見てみると、
http://ja.wikipedia.org/wiki/ヒポクラテス
彼の功績で最も重要なことは、原始的な医学から迷信や呪術を切り離し、科学的な医学を発展させたことである。


 鳩山は紀元前4世紀より遅れてるってことですね。