先日、うちにFAXが届きました。民主党がやるやると言う農家戸別所得保障について県の担当からの連絡なのですが、これが今の農政、と言うか政府の体質を明快に表してると思うので紹介します。


 どういうところを紹介するか、そりゃ制度の中身についてだろうと思うのは早計でして、実は紹介したいのはFAXの表の文章なのです。抜き出してみます。



 民主党政権では、農政の主要施策として「戸別所得保障制度」を掲げており、H23からの本格実施に向け検討しているようですが、米の戸別所得保障については、別紙資料1にあるようにH22からモデル事業として全国的に実施するようです。


 報道等でご存知かもしれませんが、民主党政権では、従来のような農水省(官僚)を通じての情報提供がほとんどありません。よってこの戸別所得保障制度についても別紙資料1以上の情報は県レベルでも提供されていません

 そこで、乏しい情報の中で申し訳ないのですが、農業者自らが、直接、この制度について意見や質問等を農水省宛に送ることが出来ます。簡単に言えば、この制度が決定する前の唯一の機会かもしれません。是非、この機会を捉え意見・質問等を農水省宛に提供していただければ幸いです。
 なお、提出期限は11月10日(火)までです。



 ※ちなみにプレスリリースのアドレスは
 http://www.maff.go.jp/j/press/kanbo/kihyo01/091023_1.html


 つまり来年度から始動するはずの制度について、県のレベルにも確たる情報が降りてきていないのです。で、農水省を通じての情報提供がないのですから、仮に県では埒があかんと思って農水省に直接問い合わせても結果は同じであろうと思われます。ついでに意見募集の期限は11月10日です。プレスリリースが出たのは10月23日のようですが、早くね?
 そしてこんな状況で、民主党ではなく農水省に意見・質問等してもそれは有効に働くのでしょうか。もともと、一個人が何か言ったところで・・・と思わせるもの、とはいえやらないよりはマシだろう、数が集まればもしかしたら、と言うようなものなのに、現政権ではそんな期待も薄まって感じます。結局周りがなんと言おうが民主党幹部の思いが通るのであろうと。
 それは北朝鮮の主体農法とかぶります


 でまあFAXについてですが、つまるところ別紙資料1にはどの程度のことが書いてあるかといえば、かなり乏しく不透明です。なにしろ資料中にもしょっちゅう「詳細は不明」という文字が出てきます


 ちなみにわずかながらわかったことですが(と言ってもこれだってまだ確定と言うわけではありませんが)、米の戸別補償について、


・生産費と販売価格の差額を補償する。
 →補償は地域ごとに算定ではなく、全国統一の単価


・生産費は農薬・資材費等の経営費と家族労働費(ただし8割まで)の合計とする。
 →つまり「真の」生産費ではない。


 私が思っていたより遥かに最悪です。主食用の米を作っている農家は死ねと言うことでしょうか。全国統一の補償では、作りにくい土地での生産(例えば中山間地)は淘汰されていくでしょう。じゃあ北海道などの条件のいいところならやっていけるのかというと、実はそれも時間の問題です。なぜなら、この生産費は(販売価格も)過去数年の価格の平均を使うのですが、条件の悪いところ(生産費がたくさんかかっていたところ)が淘汰されればその分全国平均の生産費は安くなっていき、次第に最も安い生産費へ収斂していきます(時間はかかるでしょうが)。
 これは地域ではなく農家戸別の話にしても同じ事で、仮にある農家が努力して、全国平均よりもかなり安い生産費で稲作が出来たとしても、翌年以降はそれについていけない農家の脱落でどんどん平均生産費が下落していきます。努力すればするほど他人の、そして自分の首をも絞めます。


 で、生産費の定義ですがこれはなんなんでしょう。もともと、生産費と販売価格の差額を補償するということは、そのとき販売価格は生産費を下回っているのでしょうから、つまり農家の収入は最高でも生産費までとなります。そして生産費の内訳には、「利益」と言う項目はありません。本当に米が作れると言うだけのカツカツの金額の、しかもそれを満額もらえるわけではないと言うおそるべき制度です。粗利もゼロなんですからすでに理論上破綻しています


 実際インフル対策など見てても、民主党の政策なんてどこもこんなもんとか思えてうちらだけじゃねえやと感じるのが唯一の救いなんですが、いやもうホントに鳩山逮捕されないかな。