厳密に言えばですが、農業の現場において除草剤や殺虫剤や殺菌剤などが使われるのは、草や虫や病原菌を退治するためではありません。作物を育てる上で邪魔になる草や虫や病原菌を退治するために使います。
 どう違うかといえば、邪魔にならない草や虫や菌は存在していても別に構わないし、いちいち無駄に殺したりしないのです。


 もっとも、それら雑草などにしても量が問題ではあります。イボクサなどは最初の株が小さくても時間が経てば大繁殖するために、小さくても排除したいものですし、少しだけ生えてるなら特に害にならない草でも大量に生えていたらやはり有害となりますし、除草剤を使うこともあります。少量の雑草なら手で取ることももちろんあります。


 農薬の使用は手間がかかりますし(稲の農薬なんか、使う時期はたいてい暑い時期なんでかなり面倒くさいです)、そもそも農薬代がけっこうバカになりません(はっきり言って高いです)。
 そういう意味で、全ての農家は対費用効果を考えながら農薬を使っていますし、少々の被害に目をつぶって使わない事もあります。別に殺す必要の無い益虫に対してわざわざ大量の農薬など使いません。


 農薬使用にはもちろんリスクがありますが、同時に確実に存在しているメリットを見て欲しいですし、ましてやリスクを妄想で拡大するのは勘弁して欲しいところです。この程度のメリットに対してこんな農薬リスクは割に合わない!というような評価をしてもらえるならまだ議論になると思いますが、(しょうがない面があるにせよ)農薬のコスト&ベネフィットを熟知した批判というのはなかなか見られません。