医療ブログ界隈ではとっくに語りつくされている感のある信友浩一氏のコラム。遅ればせながらも取り上げてみようかなと思った理由は、あのバミュ先生までもがこれについて言及されていてびっくりした からです。
 バミュ先生はほぼいつもお気楽というか、ほのぼの系のエントリを書いてらっしゃるので、この手の医療崩壊問題みたいな真面目ネタは少ないので(だからといって面白くないと言うわけではなく、すごく面白いです)、異彩を放っています。


 一応、元のコラム(の一部)


日本医療政策機構の医療政策 新政権への緊急提言第8回「医師は被害者意識を捨てよ」


1)医師は応召義務を果たしていない


 医療問題にまつわるひとつ目のキーワードは、医師の応召義務。医師は、医療業務を独占している。独占しているのだから、必ず義務も出てくる。それが、応召義務。たとえば電力会社は、すべての国民に電力を供給しなければならない。その代わりに、地域の電力供給を独占できる権限が付与されている。つまり権利と義務を、同時に持っているのだ。へき地だから電気を供給しない、儲からないから送らないというとはできないのである。医師は、医療業務を独占していながら、応召義務を果たしていない。これが医療のもっとも本質的な問題だ。


 東京や奈良のたらい回し事件もそう。自分の施設が満床だったら断るということが、習慣化されてしまっているから起きる。「施設完結型医療」を前提にしているなら、応召義務も果たしてもらわなければ理にかなわない。


 「いまあるもの」で何とかするのが医療だ


 求められているのは「地域完結型」の医療。自分の病院で対応できなければ、ほかの病院が対応できないか探してみるべきだろう。医師が不足していようが多かろうが、今いる人員でどうにかする。それが医療の大原則である。



 はいはいわろすわろす的な批評はそこらじゅうにあるので割愛します。このコラムはほかの部分もあってメチャクチャ長いのですが、とどのつまりは医師がもっと頑張れば良いと言う、ただの精神論です。医療システム学分野教授が言う台詞が精神論かよという話も言われつくされています。今いる人員でどうにかするのが大原則って、その原則で太刀打ちできなくなってるのが問題なんでしょうに。原則で終わっちゃって、発展とか応用はできんのか。
 で、バミュ先生の分かりやすすぎる説明。


http://ameblo.jp/sanfujinka/entry-10193649627.html


一応さ、
ちょっと
やわらかく言いますと
仮に医者が応召義務をなかなか果たしていなかったとして
もう少しモラルを持つとして…
そこはこっちでがんばるから、
加えて
さらに
そちら側でも医療システムを改善してくれたら
もっと良い医療が提供出来ると思いますよ?せんせ?


 こちらも、ほとんど大原則と言っていいほどの正論ですね。


 ただまあ医療分野が暗澹としているのは、こういう教授とか政治家とか諮問会議とかの偉い人たちにとって「システムの改善」とは、往々にして、書類仕事の増加以外の何ものをも指さないことが多い点でしょうか・・・。もちろん大部分のまともな医療システム学教授は、そうではないちゃんとしたシステムの構築を研究しているんでしょうけど。


 一番の問題は、こんな人の意見が、一流の識者みたいな皮をかぶって表に出てくることでしょうね。割合的には変なのより、まともな研究者の方が圧倒的に多いと思うんですけどねえ。ほかの分野でも、目立つ「大学教授」は何故かオカシイ比率が高い。ま、「何故か」なんて、理由はだいたい分かってるんですが。


koume