たまには農薬ネタも基本に立ち返ったようなことを。


 うちには3匹の猫がいます、3匹と言うよりも3人と言うほうがいいくらいワガママ横柄な猫です(^^;
 今どきは猫や犬にも服を着せることがあり、ペットショップでは猫用の服を売ってたりしますが、うちはド田舎にあって、猫たちは勝手に玄関の戸を開け外を走り回るアウトドア派の半分野良猫なので、服なんかもちろん着せていません。ときどき外に出たまま玄関の鍵が閉まってしまい、外に取り残されたままになることもありますが、自前の毛皮でしのいでいるようです。


 さて人は普通は裸で生活してはいません。家の中では裸族だとか言う人もいるようですが、当然のことながら外に出るときは服を着ていないとおかしいです。それはかっこよく・きれいにと言う見栄え・ファッションの側面があることは当たり前ですが、それ以前に寒さや暑さ、ちょっとした飛来物や害虫や草などから身を守るために必要となります。
 猫は毛皮があるが人には無いから服を着るので、逆に大昔はもっと厚い体毛が生えていたはずで、今からであってもみんなが裸で生活するようになれば何万年かしたら毛が生えてきます。それまでに絶滅しなければ。


 それと同じような意味で、現代の栽培作物には農薬が必要なのです。農薬は、よく、農家の都合によって必要なのだとされることが多いのですが、実はむしろ作物の方の都合で必要なのです


 どういう事かというと、栽培作物とは大昔自然に自生していた植物とはまるで違うものになっているからです。どう違うかと言うと、単純に言えば美味しく、そして害虫や病気に弱くです。それは改良の成果です。
 改良したのに害虫に弱くなっているとはなんぞやという話ですが、今普通に食べられている作物の中には、昔はマズイとか言う以前にそもそも食用ではないものもありました。有名なのはジャガイモやキャベツで、ジャガイモなどは今のものでも芽のあたりや皮のすぐ裏あたりで緑色になっている部分には毒性の強い物質が含まれていて、たくさん食べると腹を壊します。植物はそういう毒性の強い成分で害虫などから身を守っていた(天然農薬とも言われます)わけです。
 昔の野菜は食べられるものでも火を通したり加工するのが当然で、生で食べられるものはほとんどありませんでした。現在生でも食べられる野菜のほとんどは、自然にあったものを食べられるようにした・・・つまり改良で弱くしたということです。


 ヒトの体毛が薄くなって服を必要とするようになったのは退化ではなく進化なのです。で、寒さを補うために服を着るように、そのままでは害虫に食べられたり病気になってしまう野菜を農薬を使って守っているわけです


 農薬と天然農薬の違いは、コントロールできる点です。はっきり言って天然農薬に関しては一般的な野菜のものであっても、未だにその種類や量に関して調べつくされているわけではありません。一つのトマトに含まれる天然農薬の種類や量はものすごく多く、しかも育ち方によってその振り幅も大きくて把握しつくすことは至難の業ですが、農薬であればその働き方や分解のされ方、種類や量などをデザインしコントロールすることが出来ます。特定の害虫には効くが他の虫などには(もちろんヒトにも)効かないものまで作れるわけです。


 実は今でも、野菜が害虫にかじられたり病気にやられたりすると昔取った杵柄と言うか、野菜自身が天然農薬を作り出して防御しようとすることが分かっています。その危険度は普通の残留農薬の比ではないので、虫食いの有機栽培野菜っていろんな意味で人に勧められるものではないのです。


koume