青くなるトマト


 写真は、これを見たから思いついた話を書きますよというだけで、この商品を批判する意図は一切(本当に)ありません。


 主にジョークとしてだと思いますが、昔から、例えば「完璧な虫歯対策法が開発されたら歯医者が失業するので、もし開発されても絶対に公表されない」というお話があります。よくあるパターンとしてはほかに、完璧ながん治療法が・・・と言うのもみたことがあります。
 こんなのは本当かどうか検証するのも馬鹿馬鹿しいくらい間違った話ですが、ではどこがどう間違っているか挙げてみます。


 もしこのジョークに乗って困るとしたら、なんで困るのかと言えば患者が減少するかあるいはいなくなるために病院の売り上げが減るからだ、と思われます。ならば困るのは医師ではないことはすぐわかります。もし本当に売り上げが減って困るのは病院経営者でしょう。もし医師の給与が、患者ひとり治していくらの歩合制ならば困るかもしれませんが、そんな話は聞いたことがないです。


 この伝に乗ると、ならば開業医・・・病院経営者と医師を兼ねている人は困るんじゃないかと思うかもしれませんが、それでもまだおかしいです。たぶんですが、開業医は新しい完璧な治療法の研究を(それほど)行わないんじゃないかと思うからです。
 そういった研究に従事するのは主に大学病院の先生ですよね(以前のBermuda先生みたいな)。もしジョーク説が本当だとして、マジに完璧なガン治療法が見つかって発表したとしたら、開業医先生はとばっちりは受けますが「だから公表などされない」とは繋がらないような気がします。


 ということはジョーク説が正しくあるためには、大学病院の経営者が困るので、自分のところで勤務している学生・研究者に圧力をかける、となります。もちろん大学病院の偉いさんが医師だって事は非常によくあることなんでしょうが、それでも医師全体から見ればわずかでしょうし、「医師が困る」と言ってしまうには無理があります。


 なにかの難病の完璧な治療法が開発されたら医師は嬉しいはずです。たぶん、仕事は楽になるでしょう。完璧に治せる治療法なら、頭の痛い訴訟問題もクリアできそうです。訴訟が起きませんから。そもそも、その治療法を行うのはやっぱり医師なので、とても失業など起こりそうにありません。


 それと、ほかの分野の研究者も同じですが、普通は研究者と言うのは自分だけの新規な、しかもものすごい成果・発見を求めて研究に打ち込むもので、もし本当に完璧な治療法でも見つけようものならもう全世界に公表したくてたまらないでしょう。それで得られる賞賛・名誉は研究者にとって巨大なものです。
 よく誤解がありますが、基本的に、研究者と言うのは現代の科学では解明できない不思議な現象ってのが大好きです。よく、超常現象ビリーバーが「科学で全て説明できると思ったら大間違い、科学では計り知れないことはいっぱいある」とか言いますが、まともな研究者なら科学に限界があることなど誰でも知っています。
 ほんとの本当にすごい現象があるなら、それがとりあえず自分の手で再現できるかどうか検討するのが科学です。科学者が、科学では計り知れない現象だと主張するものを嫌悪するのは、それを再現するための条件などがまるで提示されていない、妄想かでっち上げに基づいたものが多いからです。つまり「せっかく面白いネタなのかと見に行ったら全然ダメ。ガッカリだよ!」と感じるからです。


 なんか相当脱線しましたが、こんな話を考えてみて気づくことは、どうも一般的に医師=経営者てな誤解がかなり根強くありそうなことと、なおかつ医師=研究者(しかも研究者自体が誤解されている)てのも広く根付いていそうなことです。いや完全に間違いてなわけではないんでしょうが、本来様々な人を「医者」とひとくくりにすることにまるで疑問をもたれていないところがなんだかなあというところでしょうか。なんだか病院で働いているのは医師しかいないような感じもしますが、医師はある意味現場作業員であって、その後方にも上にもいろいろな人がいることがろくに知られていない。なので医療ミスがいきなり医師のせいになる・・・つまり病院=医師というわけです。ついでに地域の医療システムの問題も医師のせいになったりするんですね。


koume