中国新聞ニュースより


皮と具から3000ppm以上検出 千葉で被害のギョーザ '08/3/14
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200803140129.html



 中国製ギョーザ中毒事件で、被害に遭った千葉県市川市の母子五人のうち、子どもが吐き出したギョーザの皮と具から検出された有機リン系殺虫剤「メタミドホス」は、三○○○ppm以上と極めて高濃度だったことが十三日、県警捜査一課の調べで分かった。


 調べによると、今回検出されたメタミドホスは、皮一グラム中約三・五八ミリグラム(三五八○ppm)、具一グラム中約三・一六ミリグラム(三一六○ppm)。調理したギョーザのメタミドホス含有量は、一個当たり約四十五ミリグラムと推定した。


 内閣府は、一度に摂取しても健康に悪影響が出ないとされるメタミドホスの量を体重五十キロの人の場合、○・一五ミリグラム以内と設定。一個を丸ごと食べた場合、約三百倍のメタミドホスを摂取したことになる。


 発表した捜査一課の幹部は「濃度は極めて高く、残留農薬の可能性はない」としている。


 専門家によると、動物実験で半数が死ぬ「半数致死量」は体重一キロ当たり約二十ミリグラムで、五人が助かったのは奇跡的といえそうだ。


 メタミドホスの国の残留農薬基準は、ギョーザなど加工品では設定されていないが、ニラで○・三ppm、キャベツで一・○ppm。今回の検出濃度はニラの基準の約一万五百―一万二千倍に当たる。


 五人は一月二十二日夜、中国・天洋食品製の「CO・OP手作り餃子」(昨年十月二十日製造)を調理して食べ、嘔吐(おうと)や下痢の中毒症状を訴えた。長女(18)と長男(10)は吐き出したが、母親(47)、二男(8)は重症、二女(5)は一時重体となった。


 五人は同県浦安市の病院二カ所に入院したが、二月中旬に順次退院、二女だけが現在も通院している。






 はー3000ppm以上ですか。だったら急性毒性も納得です。しかも具にも含まれてたんですね。

 なんか、今になってやっとわかったのが遅すぎるくらいの情報ですが。それとも、わかってて公表しなかったのだろうか?一番最初に調べることですよね、これ。



 しかし記事内容はちょっとわからない表現がありますね。
> 動物実験で半数が死ぬ「半数致死量」は体重一キロ当たり約二十ミリグラムで、
 専門的にはLD50が20mg/kgと表現しますが、なのに、
> 内閣府は、一度に摂取しても健康に悪影響が出ないとされるメタミドホスの量を体重五十キロの人の場合、○・一五ミリグラム以内と設定。
 0.15mgですか?動物実験での値(20mg/kg=1000mg/50kg)より4桁も低くなっていますが・・・急性毒性のことは詳しくないんですが、こっちを人間に当てはめる時は安全率をかけて1万分の1とかにしちゃうんでしょうか(ADIであってもNOAELの100分の1ですが)。なんか、0.15gとの誤記を疑ってしまいます。今回の場合、餃子3個で0.135gとなるみたいなので辻褄は合います。けど東京新聞での同様の記事も同じ表記なんですよね。


 それと、ニラやキャベツの基準と比べる意味はありません。わかりやすくするための表現だ、との主張も通りません。ニラやキャベツに設定されている残留農薬基準は慢性毒性の基準であって、今回のメタミドホスのように急性毒性の基準を設定しているのではなく、両者に厳密な相関もないからです(急性毒性量と慢性毒性量には、一般的に千倍の差がある、とかはありますがあくまで大雑把なものです)。つまり記事では、慢性毒性と急性毒性を混同してしまっているのです。


 しかしこの量はすごいです。報道の初期は130ppmの残留がどうとかといわれましたが、全然違います。事故による混入だとしたら、よほどのことをしないとここまでいきません(もちろん130ppmもよっぽどの相当ですが)。


 今、中国産の野菜の輸入が激減していますが、そちらは濡れ衣に近いものです。対応するべきは事故の方であって、ごく微量の残留もなくせ!と言っても中国では対応不可能でしょう。大量残留の方を追及することに手を緩める必要はありませんが、的外れなことを迫っても切れられるだけです。


 先日読んだマンガに、「中国産の食材を一切使っていないので、安全です!」と張り紙を出した中華料理店、というギャグが載っていましたが、早くもすでに影響が出ているように中国産野菜がなくなると日本の食卓はあっという間に干上がります(かといって、下手に出てしまうと交渉にも何もならないところが難しいところだが・・・)。中国の肩を持つわけではありませんが、冷静で科学的な対応を期待したい。


koume