今日、余りにも暇な時間が出来、読みものの選択肢がこれしかなかったので「女性自身」2月19日号を読みました。もちろん中国製ギョーザの話題も扱っています。
 私の中では情報の精度というか、リテラシーの部分で週刊誌というやつは、
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 位の扱いなので、新聞ですらたいがい酷いのに週刊誌のものなんか普通読まないのですが、まあ暇つぶしに読んでみました。


 「『冷凍食品』中国シェア60%が『お財布』を直撃する」という記事の中で、郡司和夫という食品ジャーナリストがこんなことを言っています。





 「製品回収に追われている各メーカーは“ミートホープ事件”をなにひとつ教訓にしていない。これまでも中国製品の危険性は指摘されてきたのですから、企業に安全を確保する姿勢があれば、今回の事件は未然に防げたはずです



 まあこういう意見は、ミートホープ事件と今回の件と何の関係があるの?ということを別にすれば週刊誌に限らず広く見られるものです。しかしこれに関しては、食品業者とすればちょっと待ってくれよと言いたい部分もあると思います。


 食品に急性毒性量の有害物質が残留していたという今回の事件は、超特殊な事例です。去年よくあった食品偽装などとは完全にレベルが違います。なにしろ、過去日本において同様な事例など一件も存在しなかったのです。


 中国製の製品に問題が多かったことは、もちろん食品業者も良く知っています。ですから、輸入農産物においては農業現場におけるコンプライアンスの徹底に始まりさまざまに指導と工夫を凝らし、今ではトレーサビリティなどは日本よりうるさくやっているかもしれないほどです。もちろん今回の件でも、材料の残留農薬であるとの説はほとんど否定されています。
 しかし加工食品への監視は徹底されていなかったのであろう、との突っ込みがあるのでしょうがもともと加工食品の危険性は低かったのです。複数の材料を使うのでそれだけでリスクは分散されますし、製造過程で水を使えばただそれだけでほとんどの残留農薬は洗い流されます。


 日本側の水際でのチェックをしていなかったじゃないか、と言われても農産物の残留農薬検査と加工食品の検査では難しさが全く違います。出来る機関も限られます。


 んなことは理由にならん!と言うでしょう。しかしね、実際のところ今回の件では、加工品検査をしててもやばいですよ。今回のメタミドホス残留は生産ロット単位であったのでなく、全国で数十袋がアトランダムに、というくらいですから抜き取り検査の網を抜ける可能性は高いです。全量検査をやれ、とは言わないでくださいね。食べるものがなくなるし。


 とどこまで言い訳しても、結局は「理由にならん!」という反論が来る事は分かりますし、一理もあります。しかし今回の件は本当に特殊な事例だったと言うのは頭に留めておいてほしいです。未然に防げたはず、と言っても通常採られている対策と今回のを防ぐ対策は性質がまるで違うのです。
 例えればコンビニに、テロリストが機関銃を乱射しながら侵入し、商品を奪っていったようなものです。それでも万引き対策を万全にしておけば未然に防げたはず、と言うならもう現場はお手上げです。最近どこの業界でも同じですが、想定外の事態にも当然万全の対応をしろ、と言うものが多くて困惑します。しかもたいてい、言う方はただ言いっぱなしで、じゃあどうすれば良いかの意見はありませんし。


 ちなみにミートホープを教訓になどとトンチンカンとしか思えないことを言う郡司氏について、人となりをグーグルさんに教えてもらったらこんなものを目にしました。



郡司和夫 著「「赤ちゃん」が危ない―母体と胎児と生命の「汚染」を追う」(情報センター出版局、1992年5月22日 第1刷)より
「食品添加物が大量使用されて40年。化学物質が、これほど激しく摂取された時代は人類史上ありません。その結果、子どもを産み育てるという人間本来の営みすら、現代人はまっとうできなくなってきているのです」──一貫して“食と環境”の荒んでいく現実を見据え、現代社会に隠された“生命の不安”を暴き出してきた。食品公害との闘いに生涯を賭けた先達として名高い父上・故郡司篤孝氏の遺志を継ぐ、硬派・行動派のジャーナリストである。ハードな取材のいっぽうでは、手作りのメディア「月刊食添特報」の発行人として、独自のネットワーク作りを進めている。母親学級や消費者グループからの講演依頼も数多く、機会と時間の許す限り全国各地へと足を運んでいる。“頼れる市民派”でもある。1949年東京生まれ。



 私の価値判断では、どう見てもトンデモジャーナリストです。ありがとうございました。


koume