asahi.comより
中国製ギョーザで10人中毒症状 農薬検出 千葉・兵庫




 千葉県と兵庫県の3家族計10人が中国産の冷凍ギョーザを食べた後にめまいやおうとといった食中毒症状を訴え、9人が入院していたことが30日、わかった。両県警が2家族が食べたギョーザを鑑定したところ、有機リン系農薬のメタミドホスが検出された。輸入元のジェイティフーズ(東京都品川区)は、この商品と同じ工場で生産された23品目の自主回収を始めた。




 ちなみにメタミドホス

国際化学物質安全性カード メタミドホス


 中国産野菜にメタミドホスが残留し、中毒事故を引き起こした事例には前科があります。香港でのいわゆる毒菜事件です。事件が起きる構造は同じようなものと考えざるを得ないし、中国産野菜の安全性への信頼は残念ながら大きく損なわれたと言うよりありません。私は輸入野菜に関しては、業者などの努力により安全性が上がっていると聞いていたし、そのことを信じていたので非常に残念です。


 事件に疑問がないわけではありません。メタミドホスが検出された、といってもいったいどれだけの量が検出されたのかわかりません。普通、農薬は野菜を栽培する際に使うものですから、餃子などの加工品の場合は農薬の残留量なんかほとんど無いはずです。餃子に入っている野菜は量が少ない上に調理されていますからね。メタミドホスの毒性による中毒ではなく、餃子そのものが腐っていたとかかもしれません。まあ、そうだとしてももちろんダメダメですが。
 また、食べる前から異臭がしていたとの報道もありましたが、メタミドホスはにおいや味ではわからない、とこれも報道に載っています。まっこちらはトルエンなどらしいですが。
 農薬関連の報道は捏造と呼んでも差し支えないほどフィルタがかかることが普通なので、とりあえず疑いは残ると言う程度には考えています。


 ただし、本当にメタミドホスが由来の中毒だとしたら、それは恐ろしいことに、殺虫のために(メタミドホスは殺虫剤です)、野菜ではなく餃子に直接使った可能性が高いと言うことになると思います。メタミドホスであれほどの中毒を引き起こすということは、0.5~1グラム程度を摂取したと考えられるのですが、それはかなりの大量です。ためしに、1グラムの塩を計りとってみると分かると思います。


 農薬の害は冤罪が多いのですが、今回の事件は本当に、農薬が引き起こした、安全性に関わる事件となってしまいました。残念です。


 余談ですが、今朝日放送の「報道ステーション」でこの事件の報道を見ているのですが、「専門家」としてあの常石敬一がコメントしていました。あんな奴は専門家でも何でもありません。なんで有機化学のゆの字も知らないド素人にコメントを求めるのか、まったく不思議でしょうがありません。


追記:某所で「常石敬一って誰?」というご意見を目にしました。神奈川大学の教授です。大学教授ですが、有機化学が専門というわけではなく、経営学部の教授です。

 農薬・有機化学について語るにふさわしい人物かどうか、肩書きだけで判断してはいけないと感じる方は、下記のリンク先をご覧ください。


●サリン事件に登場した「毒ガスの専門家」常石敬一教授を嗤う。


koume