webソースありません。11月9日北國新聞朝刊より。


 高知県香南市の土佐香美農協は八日、組合員の農家のキュウリから使用が禁じられている殺虫剤「メソミル」が検出されたと発表した。検出したメソミルは食品衛生法上の安全基準値0.2ppmを下回る0.05ppmで、健康に影響はないという。
 農協によると、キュウリは金沢市など三市一区に約1.7トン出荷された。農協は既に回収を始めており、メソミルが検出されなくなるまで、この農家のキュウリの出荷を見合わせる。メソミルはキュウリ以外の野菜には使われることがあり、農家はキュウリへの使用が禁じられていることを知らなかったと言う。
 農協は、「農家の認識不足だった。再発防止に努める」としている。


 えー、農薬の法規制について勉強する際、重要なポイントがあります。農薬を規制する法律は大きく2種類あることです。すなわち、農薬取締法食品衛生法です。
 農薬取締法は農水省管轄の法律で、食品衛生法は厚労省管轄の法律です。この二つを混同せず、しっかり区別することが農薬法規制を理解する上での要点です。


 どう違うかと言うと簡単には、農薬取締法は農薬の製造・販売・使用に関して規制を設ける法律ですし、食品衛生法は食品の残留農薬(食品添加物も)を規制する法律です。以前、ポジティブリスト制度が始まる際に、0.01ppmの一律基準が導入されて、それは農薬の使用を規制するって事か?と言う反発の声が上がりましたが、農薬の使用を規制しているのはあくまでも農薬取締法であって、食品衛生法の上では農薬の使用はなんら規制されていません。ぶっちゃけ、食品衛生法だけを問題にするなら、農薬をいくら使おうが結果として基準値以下ならいいわけです。逆に言えば、いかに農薬取締法を遵守していても、結果として残留基準値以上の農薬が検出されてしまえば、食品衛生法違反として回収騒ぎとなります。


 ですので、食品衛生法としては残留基準値オーバーの農産物を回収することは出来ますが、農薬取締法違反の野菜を回収する法的根拠など本来は無いのです。
 ところが今回のニュースにもあるように、農薬取締法違反にもかかわらず農産物を回収してしまうケースが間々あります。これはJAや業者の自主回収ですが、こんなことをする方が逆に農薬の安心性(安全性ではない)を貶めていると感じるのは私だけでしょうか?


 このケースであれば、メソミルをキュウリに使った農家には農薬取締法に基づいた処罰を与えるべきです(3年以下の懲役または100万円以下の罰金)。しかしキュウリそのものは食品衛生法違反でもなんでもない、至極まっとうなキュウリですから、安全性には問題ないので回収しないとするべきです。だいたい、回収する理由がありません。なぜ回収するのか?と聞けば風評被害がどうこうと回答が来るでしょうが、こんな行為そのものが風評被害を産む下地になっているのではないですか?


koume