農薬取締法が厳しく改定された際、それに続いて例外規定として特定農薬というものも制定されました。趣旨としては、農薬取締法があんまり厳しくなったもので、今まで普通に防除に使ってて危険性もほとんど感じられないものまで規制されたのでは農家の不利益が大きすぎるというもので、決まるまでは様々な議論がありました。
 何が特定農薬になるかは、農家からの情報提供も受けていろいろ審議され、牛乳やアイガモ、ニームオイルなども候補に上がっていましたが、結局のところ特定農薬とされたのは
 天敵(昆虫鋼やクモ鋼に属する動物で、アイガモなどは含まない)
 重曹
 食酢
だけになりました。これら及び農薬以外のものを農薬目的で使用する事は、農薬取締法違反となり罰則もあります。食酢を防虫目的で使う事は許されるが、牛乳やニームオイルなどを使用するのは違法だということです。


 さて農薬とはもともと、法律の上では、
農薬取締法第一条の二 この法律において「農薬」とは、農作物(樹木及び農林産物を含む。以下「農作物等」という。)を害する菌、線虫、だに、昆虫、ねずみその他の動植物又はウイルス(以下「病害虫」と総称する。)の防除に用いられる殺菌剤、殺虫剤その他の薬剤(その薬剤を原料又は材料として使用した資材で当該防除に用いられるもののうち政令で定めるものを含む。)及び農作物等の生理機能の増進又は抑制に用いられる成長促進剤、発芽抑制剤その他の薬剤をいう。
 とまあ長いですが、要するに防虫や殺菌などを目的として農作物に使うもののことを農薬というのであって、本来は特定の物質を指した言葉ではないのです。
 しかし現在では、農薬として使用できるものは厳しい大量の試験データをそろえて農水省に提出し、きっちり登録を受けたものしか使えない事になっています。農薬取締法が改正される前は農家が自分で工夫した資材も使えていたのですが、ダメになったため、従来使っていたもので明らかに安全なものをピックアップしたわけです。


 しかし実際のところ、特定農薬から漏れた物(ニームとか)はもちろんですが、選に入った重曹や食酢も、明らかに安全とまでは言えないと感じます。農薬はものすごい厳しい登録基準があるため、様々な条件下での影響について調べつくされていますが、重曹や食酢はそうではありません。もちろん、これらは日常的に食べられている食品ですし、少しくらい口に入っても安全だとは言えますが、農薬として使用する事は条件がまるで違います。例えば、食酢を霧状にして噴霧する際に目に入ってしまうとかなり危ない感じがします。
 農薬は皮膚についたり目に入ったり鼻の粘膜についたりしかも長時間暴露されて・・・といった普通の食品ではありえない条件で使用されているので、試験もそれに見合ったものになっています。特定農薬はそんな試験はくぐり抜けていません。


 重曹は普通に農薬の成分としても使われていますが、食酢はどうでしょうか、使っている人はまあいるでしょうが、私の周囲では聞かないですね。


koume



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