温暖化や団塊世代の増加などにより、家庭菜園レベルで殺虫剤を買う人が増えている模様。売れ筋は植物など天然由来の成分で作っている、「安心して使える」商品だそうだ。農薬中毒に対する消費者の関心も高まっているから、もあるらしい。はああ・・・


 それにしても、農薬を毛嫌いするならするで、ちゃんと勉強してからにしてほしいものです。


日本経済新聞 2007/06/27 ウェブソースなし

手軽に駆除 園芸満喫

天然由来の成分で安全


 「子供のためにも、安全な商品を選びたい」。東京都多摩市のケーヨーデイツー唐木田店。自宅のベランダでハーブの鉢植えを育てている五十代の夫婦の悩みは、葉に付くアブラムシだ。手に取ったのはフマキラー「カダンセーフ」(450ml/850円)。デンプンなど植物由来の成分で作った殺虫剤で、「今年に入って、販売は前年同期の四倍の勢い」(フマキラー)という。

 同店を運営するケーヨーでは、アブラムシ用を中心とする園芸用虫よけ・殺虫剤の売れ行きが今年に入り、前年の三割増しで推移している。フマキラー「カダンセーフ」のほか、住化タケダ園芸の「パイベニカスプレー」(420ml/861円)も人気。除虫菊の抽出成分を使ったスプレー式殺虫剤で、ナスやキュウリ、バラなどに付くアブラムシを退治できる。

 関西地盤のコーナン商事でも園芸用虫よけ・殺虫剤販売が三月以降、前年の約二割増し。「最近は、園芸を始めたばかりの人が天然由来成分を使った野菜用の虫よけ・殺虫剤を選ぶケースが目立つ」という。

 東急ハンズ渋谷店では一月以降、園芸用虫よけ・殺虫剤販売が前年同期の15%増。「虫の活動が活発なことを反映した格好だ」。カインズ(群馬県高崎市)でも、体に直接危害を加えるハチやムカデ用の商品も含めて売れ行きが堅調。1~6月の類型販売額は前年同期の5%増だ。


 殺虫効果はないが、虫を植物から遠ざける虫よけ剤も人気だ。JOYアグリスの「なめくじ逃げ~!逃げ~!」(500g/473円)は、プランターの周囲などにまくだけでナメクジの侵入を防げる。中島商事(愛知県豊明市)の「天然 虫除け粉」(500g/600円)も植物由来の成分を使っており、土にまけば2~3週間はアリやダンゴムシを寄せ付けない。

 社会経済生産性本部がまとめた「レジャー白書2006」によると、団塊世代が「これから10年でしてみたい余暇活動」の中で、「ガーデニング」は上位に入った。今年から団塊世代の退職が本格的に始まるため、園芸用の虫よけ・殺虫剤の需要は一段と拡大しそうだ。





 植物由来だとか自然由来だとか書いていますが、農薬は全部天然には無い人工化学物質だとでも思ってるのだろうか・・・農薬には自然の植物から抽出した成分を使ってるものなんかいくらでもありますけど。除虫菊から抽出した成分(合成ピレスロイド)なんて、モロ古典的な農薬(^^;ちなみに最近は、蚊取り線香なんかでも合ピレから進んでアレスリンというもっといい成分を使っています。


 なんか記事では微妙にぼかしてる感じですが、「カダンセーフ」 「パイベニカスプレー」 、これらはれっきとした農薬です。「なめくじ逃げ~!逃げ~!」 は、ちょっと見た限りではよくわからなかったのですが、天然有機だから・・・とか広告に書いてあったのは怪しさ満点です。もしこれが農薬でないとしたら、家庭菜園に使用するのは農薬取締法違反です。いっときますが懲役または罰金もあります。農薬かどうか見分けるのは簡単で、農薬だったらパッケージに必ず農林水産省登録番号が書いてあります。

 農林水産省登録番号が書いてない資材を、農薬的な目的(殺虫・殺菌など)に使用してはいけません!!これは農業をやる者における最低限のモラルです。登録番号の書いてない、無登録農薬(違法な農薬)の代表格は、フローラのHB-101や木酢液です。


 自然由来だからといって安全とは限らないし、人工化学物質だからといって危険でもないです。塩化ナトリウムと自然塩はどちらがハイリスクかといわれたら、自然塩に決まっています。植物成分生まれだから、という話には何の意味もありません。

 自然物にも人工物にも、危険な物があります。結局問題なのは、それそのものが危険かどうかなのであって、天然か人工かなんてのは関係ありません。そもそも、いくら天然成分でもそれを抽出して加工した時点でそれはどう見ても人工化学物質なんですが、なんで広告書いてる人や新聞記者などはそれに気づかないのだろうか??


 ところで殺虫成分などは、農薬でも家庭用殺虫剤でも同じ物を使ってる場合が多いです。結局のところ、違いは、法的な登録の違いであって、全く同じ成分でありながら農薬にも医薬部外品にも動物用殺虫剤にも使われるものがあります。それぞれ、別々に登録を取る必要があります。

 んで登録を取るための厳しさの取り方にはそれぞれ違いがあって、農薬は最高に厳しいのです。ある有効成分が発見されても、危険性が高くてとても農薬として使えず、代わりに医薬品や化粧品として使用されているものだってあります。農薬嫌いなオバサンがつけてる口紅には、農薬にはとても使えないほど危険な成分が含まれていたりします。


 家庭菜園レベルで、こんなに虫が沸いて~、手間がかかって~、殺虫剤に金がかかって~と嘆く人は、農家がいかに苦労して食物を作り、店の野菜や米がいかに安いか、を考えてもらいたいですね。農家が農薬を使うのは主に夏だったりして、くそ暑い中を、家庭菜園なんかとは比べ物にならないほど広大な面積相手に害虫と戦わなくてはいけないのは本当に大変ですよ。


koume



にほんブログ村 企業ブログ 農林水産業へ or ranking

↑農業の未来のために。応援頂けると嬉しいです。