「看護士内診禁止問題」ってご存知でしょうか。医師の方はみんな知ってる、一般の方はあんまり知らない問題です。余談ですが、こういう形の問題は最近すごく多くてマスコミの怠慢を指摘したいとこですが、それにしても近頃の医療関係は1日1ネタという感じで毎日大量の事件が発生しており、とても追いきれるものではありません。


 これは、簡単に言うと、看護士は、産科医療の現場で内診に当たる医療行為を行ってはならないとする話です。内診行為とは
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1・産婦に対して、内診を行うことにより、子宮口の開大、児頭の回旋等を確認すること並びに分娩進行の状況把握及び正常範囲からの逸脱の有無を判断すること
2・産婦に対して、会陰保護等の胎児の娩出の介助を行うこと。
3・胎児の娩出後に、胎盤等の胎児付属物の娩出を介助すること。
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となっています。


 なにが問題になったかといえば、これの内容そのものももちろん問題で、これまで現場では当たり前のように看護士が行っていて、マンパワーの面からみても看護士が行わざるをえなかった(代わりにやる医師や助産師がまるで足りない)というのに、現場の状況を無視して看護士内診禁止の判断をしてしまったために産科崩壊がますます爆発的に加速してしまった(内診を賄うだけの医師や助産師を確保することが不可能な、大多数の産科は閉鎖するしかない)という事が一つあります。


 そしてもう一つの問題ですが、この結論が、本来は法的拘束力を持たないはずの「通達」を根拠として出されたということです。(厚生労働省看護課長田村やよひ(当時)「看護師内診禁止通達」)
 通達とはもともと世間一般には「努力目標」という程度に理解されており、守ることが望ましいとはいえ守らなくても特に問題はないというものでした。しかしこの問題により、通達にも実は法的拘束力があるということが明らかになってしまいました。なんと言っても、看護士による内診行為があったという理由で強制捜査を受けた病院があります。


 さて、農家として私が思い出すものに、「平成一五年度農薬危害防止運動の実施について」 という通達があります。いろいろ長いのですが、中に、
散布作業前日及び作業後には、飲酒又は夜更かしをしないこと。
という項があります。農家は、農薬を使う前日と当日は、酒飲んじゃいけないんですね。シーズンは、毎日断酒です。


 非農家の皆様、へ~農家にはそんな決まりがあるのか、と安心してはいけません。農薬には特定農薬という区分があり、そこにはアイガモ食酢重曹が含まれています。もちろんこれら「農薬」は、鴨鍋(マガモならOK)、酢豚ラーメンなどに含まれています。通達によると前日から飲酒禁止なのですから、これら料理と同時に酒を飲むなど言語道断というべきでしょう。鴨鍋を食いながら日本酒を飲んだら逮捕。アルコールを出しながら酢豚もメニューにある中華料理店は傷害未遂、気分悪いという客が出たら業務上過失致死傷罪に問われるのは確実です。


 ・・・という冗談はさておきますが、医療業界は本当に大変です。野球で言えば、7回裏で19点負けてるみたいな感じです。満塁ホームランが5本飛び出るような奇跡が起こらない限り滅亡は必至という状態です。しかも、8回表の相手側にまだビッグイニングの気配がある(6月人事)みたいなんですね。当地の医療はどうなるのかなあ。


koume