昨日の日曜日、午後からとてもいい感じに晴れたので、
Kさんと二人でライン川沿いを走って、帰りはクールダウンしながら
そのままライン川沿いをお散歩してきました。
帰る途中、ドイツ人のおじさんに呼び止められ、
「日本人? ドイツ語できる?」というので、
「少しだけできるよ」というと懐から手帳を出して、そこに挟んであった写真を
見せてくれました。
一本の日本刀の写真。
「私は今、日本風の部屋に住んでいるんだけど、その部屋にこのカタナが
飾ってあって、なにか文字が彫ってあるんだけど、なんと書いてあるんだい?」
と。
そしておじさんが手書きで書き写したと思われる、象形文字のような漢字の
メモ書きを見せられる。
2行あって、左側はすぐ読めた。
「本田 太郎」
ホンダがFamilienname(苗字)でタロウがVorname(下の名前)だと
教えるとさっそくメモるおじさん。
でも右側が全く読めない。
「衣」「和」「均?」「年」 のような文字なのだけど、読み方も何のことかもわからない。
年と書いてあるので、元号のような感じもするけど聞いたこともない。
「おそらく古い言葉なのだと思う、わからないな、ごめんなさい」
「たぶん年のことだと思うけれど・・・」
それでも、ホンダタロウのことだけでもスッキリして嬉しかったらしいおじさんは、
日本が大好きだと言ってくれ、京都・奈良・横浜はステキな所だねと
ニッコリ。かなりの親日家の様子。
ヨーロッパの人にとって、日本に詳しいということは一種のステータスのようで
話をすれば、自分の知っている限りの日本に関することを披露してくれる。
ドイツでも旅先でも、いつも嬉しくなる。
日本人でよかったなぁってね。
そして距離を縮めようと一生懸命日本のことを話している姿はとても優しい。
でも、ドイツ人(ヨーロッパ全体かな)の中国人嫌いは顕著で、中国人に間違えられると
いやな思いをすることもある。
だから、「中国人(シニーゼ)!」とヤジられたら、はっきり「 Nein! Ich bin Japaner!」
(ナイン、イッヒ ビン ヤパーナー!(女性はヤパーネリン))と言って、
自分が日本人であることを主張した方がいい。
そうすると向こうの態度はコロッと一変して「日本人なんだね!オー、ぼくの友達!」
みたいに急に親しげで尊敬するような感じになる。
デュッセルドルフは日本人の割合が多いから、珍しがられてやじられることも
少ないけれど、ケルンでもミュンヘンでも、「中国人!」とやじられたことがある。
もちろん言い返したけれどね。(言われっぱなしはダメ!)
帰り、おじさんと別れてから、あの元号のようなものは何だったのかな、と
Kさんと話しながら、結論として浮かんだのは、
よく外国の人が日本語(漢字)がクールだからという理由で、見た目のいい漢字を
適当に並べてそれっぽく(日本語っぽく)しているものだったのかな、ということ。
だいたい、作者の名前がホンダタロウというのもうさんくさいし、
(外人が考えそうなステレオタイプな日本人の名前だし)、
おじさんの部屋にあったカタナは、年代物でも高価なものでもなく、
日本っぽいインテリア雑貨としてそのへんで売られている模造刀だったのだろうな、
と思った。
というか、おじさんと話をしている途中ですでにうすうす気づいてはいたんだけど、
すごく目を輝かせて聞いてくるし、夢を壊すようなことも言えないなと・・・笑
おじさんは今頃、家族や友達に、このカタナの作者はホンダタロウというんだ!
日本人に教えてもらった!と自慢しているんだろうな、、、、と思うと、ちょっと可愛い。
でもなんかいいことした。喜んでもらえたし。
Kさんもドイツ語の勉強を頑張っているおかげで、ふたりで協力してドイツ語で
コミニュケーションがとれるようになったことはとても心強く、そして
こんな出会いも楽しめるようになり嬉しい。
自分のドイツ語が少しずつでも成長していることを感じ、まだまだ勉強頑張ろうと
モチベーションも上がったエピソード。
おじさん、ありがとう!