人には誰しも願望がある。
夢・モノ・金・人。誰でも欲しいものがある。
そんな願望を叶えてくれる道具があれば・・・
誰もが一度は考えることではないだろうか。
俺(日野 昴)は、そんな道具を手に入れた。
ある代償と引き換えに・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3ヶ月前
俺は腐り果てた人生を送っていた。
高校卒業後、特にやりたいことも見つからず、かといって大学でさらに4年の歳月を無駄に過ごすことに対して、漠然とした不安を抱いていた俺は、東京に行けば何かが変わると考え、あてもなく上京した。そして、職探しをするも、高卒の人間を雇ってくれる会社なんて当然なくて、運よく住み込みのバイトを見つけることができ、上京してから3年が経った今でもそこで生活をしている。
しかし、上京してからパチンコに手を出したのが運の尽きだった。最初はそこそこ稼ぐ程度で満足していたのだが、そのうちに負けが込み、サラ金で借金をしては、また負けるということを繰り返し、そのうちに今のバイト代では毎月の返済もままならない状態になってしまった。
そんな時、たまたま立ち寄ったコンビニで、俺は奇妙な体験をすることになる。
その日もパチンコで負けた帰りだった。帰り道にタバコを吸おうと箱からタバコを取ったらそれが最後の一本だったため、帰りにコンビニに立ち寄ったのだ。そして、なけなしの金でタバコを一箱買い、外に出たところで、横から声をかけられた。
?「ちょっとええか?」
急に呼び止められ、俺は足を止めた。普段なら無視をするところだったが、どこか懐かしい聞き覚えのある声だったため自然と足が止まってしまったのだ。振り返ると、そこには見覚えのある男が立っていた。
俺「先輩!?大和先輩じゃないっすか!久しぶりですね。元気ですか?」
その男は、高校時代の俺の先輩(本田 大和)だった。
本田「久しぶりやな、昴。」
俺はこの先輩を心底尊敬していた。確か、高校卒業後、アメリカに留学したはずなのに・・・
俺「確か、アメリカに留学されてるんすよね?帰国してたんすか?」
俺の何気ない問いに、先輩は言葉を詰まらせた。
本田「まぁ、色々あってな。それより向こうで面白いもん見つけてな。お前にも一個やるわ」
そう言うと、先輩はタバコの箱を一箱俺に向かって投げた。それがあまりに唐突だったため、俺はその箱をうまく受け取ることが出来ず、地面に落としてしまった。地面に落ちたタバコを拾いながら、俺は先輩に悪態をついた。
俺「いきなりびっくりするじゃないっすか。で、このタバコの何が面白いんすか?」
しかし、俺の問いに先輩は答えなかった。不思議に思った俺が顔を上げるとそこには誰もいなかったのだ。わけがわからず、辺りを見回してみたものの、辺りにも先輩がいる気配はなかった。
俺(意味がわからん。大和先輩どこ行ってん!)
先輩の行動に腹を立てながら、その場にいても仕方がないと思い、タバコを手にその日は帰宅した。
2日後、買ってきたタバコが切れたので、先輩からもらったタバコを吸おうと思い、タバコの封を切るとそこに注意書きらしきものが書かれていることに気づいた。しかし、それは英語で書かれており、いかんせん英語が苦手な俺にとっては暗号が書かれているようにしか見えなかった。
俺「まぁ、大丈夫やろ。どうせ人体に悪影響があるとかその程度のことやろ。」
そんな独り言をこぼしながら、タバコを手に取り、火をつけて吸い始めた。
俺(あぁ、上京してきてもっとまともな職探しとったらよかった。やったら、こんな生活してないのに。)
今さらなことを思いながら、タバコをふかしていると、携帯が流行の歌を奏でた。見ると固定電話からだった。
俺(借金の返済の催促かなぁ。出るん嫌やなぁ。)
しかし、出ないわけにはいかなかった。前に電話を無視し続けたら家まで取り立てに来て、怖い思いをしたことがあったからだった。
俺(仕方ない。)
意を決して、通話ボタンを押し携帯を耳に当てた。
俺「もしもし。」
すると、取立てにしては優しすぎる声がスピーカーから聞こえてきた。
?「日野様のお電話でよろしいでしょうか?」
この謎の電話が、俺のそれからの人生を変え、その後に起こる多くの奇妙な体験の始まりに過ぎなかったということを、そのときの俺は知る由もなかったのである。
|