はじめに断っておくが、俺は霊感とか一切ない。

まして視力が悪いので実際に幽霊が目の前に現れてもよく見えないと思う。


この話にはオチはない。


ベトナム北部、中国国境に近いタイグェン省と言うお茶の名産地がある。


タイグェンは漢字で「大原」と書く。

俺がこの省に水力発電の会社を訪ねて行ったときのことである。


大体ベトナム国内では俺は宿は予約しない。いつも行き当たりばったり適当な宿を見つけては安い宿に泊まるのが趣味なのである。


何故かと言うと、庶民的な宿に泊まるほどベトナムの一般家庭の生活が垣間見れるからである。

これも情報収集の一環だと思っている。


ある時このタイグェン省の山の中で泊まることになった。

一泊700円位の小さな宿であった。


俺は車の移動の疲れから、酒を飲んでいっぱつで眠ってしまった。


夢を見た。

泊まっている部屋のトイレの前で5歳くらいの女の子が泣いている夢だった。

俺は「なんで泣くの?」と聞いたが彼女はベトナム語で答えたので意味がわからなかった。


すると明け方4時位だっただろうか夢の中の彼女の泣き声にかぶせて2人の女性の会話が聞こえてきたので目を覚ました。