まず斎藤と言う男の容姿から伝えなければならない。
こいつが来たら要注意だからである。
背丈は165センチでかなり太っている、眼鏡をかけてタレ目、顔はアライグマに似ている。
まあ街中でスーツ姿のラスカルを見たらこいつだと思っていい。
いつもiPadを持ってやたらと説明したがる。
多分現れる場合はスーツ姿ノーネクタイで現れるから注意してほしい。
※
奴が俺の会社から帰ってから1時間ほどするとその「コエンザイム」を作ってる会社の女性社員がバイクに乗って1つの段ボール箱を持ってわが社にやってきた。
まるで斎藤と入れ替わるかのようなタイミングである。
このあたりのタイミングも妙な予感がした。
何をするにしても仕事が遅いベトナムにしては嫌に手際が良いなと感じたのである。
そしてその女性社員は段ボール箱を置いて「代金は1200ドルですけれども割引で1000ドルで結構です」
と商品価格の割引の話を出してきた。
「まぁ、安く買えることに悪い事は無い」ので俺はその商品を受け取った。
そして電話をとって斉藤に連絡した。
「今どこにいますか?もし近くにいれば商品の確認に来てください」
「いや、悪いけど今俺は空港にいてニャチャンに行く飛行機を待ってる最中なんだ」
「あ、そうですか。いずれにしても商品が届きましたので外観と成分表の写真を送ります。それと彼女が言うには1200ドルではなく1000ドルでいいと割引してきました」
「じゃぁ200ドルそちらで手数料で取っといて下さい。今から受け取る写真で成分表を見て確認してOKなら私から指示をしますので支払ってください」
「いいんですか200ドルいただいて」
「いいです。どうせその製品は倍以上で売れる製品ですから細かいことは気にしません」
電話を置いた俺は荷物の中身を確認する。
持ってきた女性社員はまだ横に座っている。
俺は受け取った段ボール箱を開けた。
中には6個の薬剤が詰まっていた。
俺はその段ボールの概観写真と1つずつの薬剤の写真さらに薬剤に貼り付けられている成分表を写真に撮って斉藤に送った。