俺が映画「大魔神」のように激怒した話だ。
ある日、日本の銀行の知り合いから電話があった。この銀行には普段から大変世話になっている。
「近々○○紡績の社長が秘書を連れてベトナムに行くからアテンドを1日お願いします。アテンド代は今回は無料でお願いします」
「了解です!通訳と車代のアテンドフィーはこちらで持ちます。また何かあれば連絡します」と俺は日時を聞いて当日空港まで出迎えに通訳と行った。
一応上場企業の社長なのでそこそこ気を使いながら今回のベトナム訪問の目的を尋ねた。
なんでもこの紡績会社は従来の繊維を使った服から原料をケナフに変えるプロジェクトをやっているらしい。
そこでベトナムはケナフの産地なのでケナフ国営工場を見せてもらいたいと言う要望であった。
実際彼らは過去に何度もベトナムには来てるのだが国営工場の中には何度交渉しても入らせてもらうことができなかったそうだ。
そこで先日の銀行にお願いして俺を紹介してもらったと言ういきさつだ。
いいシェルパを選ぶ事は良い判断だ。
俺はこちらの政府と仲が良いので理由を説明して国営工場の工場長を紹介してもらい、この社長が来た日にはちゃんと工場案内をして、場合によっては企業間のビジネスの締結まで世話する予定である。
私は通訳を連れて、車も用意してこの国営工場まで社長と秘書を案内した。
国営工場につくと「赤い絨毯」とまでは言わないにしてもかなり丁重にもてなしてくれた。
そもそもベトナムの国営工場は日本の企業に対して門戸が固い。
何故かと言うと恥ずかしくて見せれないほど工場のレベルが低いことが多いからだ。
今回はスムーズに工場長の案内で、無事工場見学が終わり、場合によっては日本の自分たちの工場に招待までして案内すると言うところまで話を詰めた。
シェルパの仕事である。
問題は次の夜である。