もう一つ「事故」と言えば、俺の雇っているドライバーがとんでもないことをやらかしたことがある。


大惨事になったことを紹介する。


普通日本の教習所では、運転免許を取る際に「車がパンクした場合」はをハンドルをしっかり固定して、ゆっくり減速して停止するようにと教えているはずである。



ある日俺の雇ったドライバーは、時速60キロ位で走行中に左の前輪がパンクした。


ベトナムの道は道路事情が悪い上に、いろんな鋭利なものが落ちているのでパンクはしょっちゅう起こるものである。


ここまではいい。


普通であれば、ゆっくり速度を落とすだけで対処ができたはずである。


かく言う俺も、日本で何度もパンクした経験があるのでその対処法は慣れている。


しかしこいつがやった行動は全くサプライズで、いきなりそのままの速度で思い切り右にハンドルを切った。


しかも減速をせずにだ!


当然右側には魚群のような無数のバイクが疾走している。


その群れの中にまともに突っ込んでいった。

当然行く手を遮られた魚群のようなバイクは総崩れである。


俺の座っていた後ろの座席のドアにぶつかって転倒していくバイクを驚きながら見守った。


連鎖して倒れていくバイクの数はざっと見て20から30あった。


中には魚を積んだ行商のバイクだとか、子供を抱いた女性のバイク、あと雑貨を詰め込んだバイクなど様々なバイクが一斉に転倒した。


一瞬でその場は大惨事の様相を呈した。