もうこのコンビによるアルバムはないかもしれない・・・とファンたちは半ば諦めていた・・・!
しかし、しかし、ついに、実現しました。ミート・ローフ&ジム・スタインマンによる新しい作品発表!!
そして、手元にやっと届いた〜(^O^)/ 9月9日に発売されて、いち早くゲットするために輸入版を早い時期から予約したというのに、日本版の方が早く手に入るというのは、どういうこと!アマゾンさん\(*`∧´)/まあ一週間遅れだけども許してあげよう。

さて、そんなことを言っても、この二人を知っている日本の音楽好きは、結構オタクの部類に入る詳しい人たちなのかもしれません。なぜか、日本ではあまり知られていないのです。でも、海外ではこの二人のコンビはものすごく人気があるし、実は日本でも一度はどこかで聴いたことのある歌だったり音楽だったりするのです。

ということで、ちょっとご紹介をいたします。


☆ジム・スタインマン


私が十代の半ばの頃、最も影響を受けた作曲家・作詞家・プロデューサーのジム・スタインマン。この人がいなかったらば、ミート・ローフは歌手としてこんなにも有名にはならなかったかもしれません。ミート・ローフのみならず、ボニータイラー「Holding out for a hero」エアーサプライ「Makin' Love Out of Nothing at All」、セリーヌ・ディオンによるカバー曲「It's all coming back to me now」、映画『フット・ルース』『ストリート・オブ・ファイアー』への楽曲提供、バーブラ・ストライザンド「Left in the dark」などの大ヒット曲はすべてジム・スタインマンが作ったものです。日本で最も有名になったのが、上記ボニータイラーの曲を朝倉未稀が歌い、ドラマ「スクールウォーズ」の主題歌になった『ヒーロー』でしょう。

高校に入学し、そのころはクラシックを(わざと)忘れて、ロックに没頭し始めた頃、クラスメートの中で洋楽にものすごく詳しい友達がいて、「こっこは、このアルバム絶対に気に入ると思うから、聴いてみな。」と、この青いアルバムを貸してくれたのです。
『Bad for Good』は本来、ジムがミート・ローフのために準備したものでした。ところが、その前に発表した下の赤いアルバム『Bat out of Hell』が大ヒットし(世界で最も売れたアルバムランキング6位だか7位)、その印税問題で二人が仲違いしていて、アルバムを録音するときに、ミート・ローフは歌わず、ジムが自分で歌って録音したのです。友人から借りたのはジムが歌ったジムスタインマンのアルバムでした。
初めて聴いた時のことは今も忘れません。頭のてっぺんから電気が走るというのはこういうことかな、と思うほど、衝撃を受けてしまいました。友達の勘が当たったわけです。
どう聴いても、やっぱりミート・ローフの歌声には敵わないのですが、私はジムの声とジムの曲に全身全霊浸りきってしまい、ミート・ローフよりもジム・スタインマンのファンになってしまいました。以後、三十数年にわたり、私は日本では珍しいジム・スタインマンファンとして生きてきました(笑)。それは、バイロイトの記事を挙げておいてなんですが、ワーグナーに対する熱よりもおそらく遥かに次元が高いのです(笑)。
でも、なぜ私がジム・スタインマンに惚れてしまったか、それは私のワーグナー好きにありました。ジム・スタインマンはピアニスト並にピアノが上手く、もともとクラシック音楽に大影響を受け、その中でもワーグナーの楽曲を最も好んでいたそうです。だから、ロックオペラというジャンルの元祖として、後のドリームシアターなどに影響を与える存在になったのです。


ミート・ローフはジムと仲直りし、その後もモンスター級の大ヒットを飛ばします。それが、下の『Bat out of Hell Ⅱ』です。1993年に発表されたこのアルバムは、ビルボード一位、全英チャートは11週に渡り第一位を獲得、中でも「I'd do anything for Love(愛にすべてを捧ぐ)」は、全世界で大ヒットしました。この時代が最もジムワールドが世の中に広まった時期だったのでしょう。



そして、ジムの音楽はミュージカルに大成します。1997年にウィーンで発表された『Tanz der Vampire』は、ジムのこれまでの大ヒット曲を中心にミュージカル音楽として構成されました。私はこのミュージカルを知り、行ったことのない海外へ行こう!と決心しました。その後、このミュージカルはドイツ語圏を中心に大ヒットし、ドイツでは今も定期的に公演されています。私はミュージカルを観るというよりも、ジムの音楽を聴くために、ドイツ・オーストリアへ出かけました。(現地でミュージカルは7回ほど観ました!!)
このミュージカルは日本でも『ダンス・オブ・ヴァンパイア』というタイトルで、帝国劇場にて何度も公演されてきました。主人公のクロロック伯爵は山口祐一郎がはまり役として演じています。これ、おどろおどろしいジャケットに見えますけれど、完全喜劇でしてめっちゃ楽しいミュージカルです。ミュージカルのクライマックスで、伯爵が若い女の子に恋をして苦しみながら歌う「Die unstillbare Gier」は、『Bat out of Hell Ⅱ』の「objects in the rear view mirror may appear closer than they are」が原曲です。

余談ですけれども、私は小さい頃からクラシック音楽で育ち、十代の半ばでロックが好きになって、クラシックのピアノの練習とか中断してしまいました。それから三十年近くピアノを弾いていませんでしたが、このミュージカルの「Die unstillbare Gier」がどうしても弾きたくてピアノを再開したのでした。



なんだかつらつらと思い出話になってしまいましたが、今回発表された『Braver than we are』は、二人のコンビとしては20年ぶりのアルバムになります。その間、ミート・ローフは他の人から楽曲の提供を受けてアルバムを発表しています。でもミート・ローフ自身が、やはりジムの音楽じゃないと、というのはずーっとあったのだと思います。今回のアルバムも数年前から、もう出るぞ出るぞ、と言われて、先延ばし先延ばしになって来ました。なぜならばジム・スタインマンはすべてに完璧を求めるため、とにかく時間がかかるのです。
今回のアルバムはミュージカルのために作曲されたものをミート・ローフのためにアレンジし直したものなど、やはりここ十数年のジム・スタインマンの路線に沿ったものになっていました。一曲目からワクワクしてしまって、十代の時の自分の感覚がよみがえります。当分、ロック熱は続きそうです。


セリーヌディオンのジム曲



とっても良い曲なので聴いてみてくださいね^ - ^