セルゲイ・カスプロフ ピアノリサイタル

2015年11月15日  トッパンホール

スカルラッティ ソナタより K319. 87. 162. 17

ラフマニノフ 絵画的練習曲集  33-2. 5. 6

ラフマニノフ ソナタ第2番

ストラヴィンスキー  ペトルーシュカ から3つの断章

ムソルグスキー  展覧会の絵

アンコール
ヴィラ・ロボス  赤ちゃん一族 第一組曲 第7曲 「道化人形」

ショパン  スケルツォ第1番

チラシをみてなんとなく買ったチケット。プログラムが好みだったのと、聴いたことがないピアニストであること。
アファナシエフをして「ここ十年来、最も知られざる芸術家」(プログラムより)と言わしめるピアニストに期待が高まりました。
2005年に、ルービンシュテイン国際コンクールで優勝していますが、日本初来日。
アレクセイ・リュビモフに師事、パリにてイゴール・ラスコに師事

スカルラッティの一音目を聴いて、これは強打鍵の男性的な音なので、このあとの曲がすごい展開になりそうだな、と思って聴いていました。
大好きなピーさま(ピサレフ先生)に風貌が似ていて、飾り気なく音量もピーさまに匹敵するほどです。
スカルラッティの各音が明晰で分析的、面白いと思いました。あまりスカルラッティは詳しくないのですが、この方のピアノならばいろいろ聴いてみたいと感じます。会場で売っていた一種類のCDの前半は全てスカルラッティです。
ラフマニノフは(これが一番の聴きたくて行ったのですが)、もうヴィルトゥオーゾ全開でして、ピーさまが100%伽藍堂(友人の言)で、ラフマニノフが降りてくるとしたら、カスプロフは90%が伽藍堂であとの10%は独自の解釈とカスプロフ色が出ているといったところでしょうか。ソナタはこれまで聴いた中では圧巻過ぎて驚きを通り越しました。
ただ、カスプロフは曲間の挨拶がとてもそっけなくて、怒ってるのかな、出来に満足していないのかな、聴衆の反応が気に入らないのかな、というくらい、すぐに次の曲に移るのです。スカルラッティから、ラフマニノフの間は、タタッちょこっと礼、くらいだったにもかかわらず、即座にラフマニノフの世界に切り替わりました。
ここまでで1時間近くなので、ペトルーシュカは休憩後に回したようです。
ということで、後半は例のペトルーシュカから始まり、展覧会の絵、となるのですが、この間も全く間合いがないというか、早く帰りたいのかしら、と思うほどのとっかかりです。
でも、ペトルーシュカから展覧会に入ったときはとても静かな出だしで、そこでクールダウンしたような感さえありました。今回のプログラムの中では一番言葉を感じた演奏だと思います。技術が圧倒的で、三十代半ばという気力体力のみなぎる時期でもあり、次々と集中力溢れる演奏ができる…そんないい時期に初来日してくれたんだな、と思いました。
クライマックスでは左低音の鐘がこれでもか~というほどに鳴り響き、トッパンホールには収まりきれませんでした。
ラストはご自身でも満足のいくご様子で、小さなガッツポーズのような仕草がとても可愛らしく感じました。やっと表情が和らいで、盛大な拍手とブラボーにこたえてくれました。それでアンコールも、すぐに弾くんです(笑)。
ショパンにも定評があるそうですが、アンコールの二曲目にスケルツォを弾きだした時には、えーっすごい体力だわーと関心してしまいました。さすがに弾き終わった時には、全身全霊やりきりましたーみたいなものが伝わってきました。

それにしても、「まだ見ぬ方の花」知られざるピアニストはまだまだ無数にいるのだ、ということを実感させられました。
{A884B21A-0D04-4E3E-9BE5-DA98C7FC5FD9:01}

{561A1780-0341-45B2-B5F3-C7723650639A:01}

{6900113C-FC84-4BB6-BF53-50D2B4D0E70F:01}