「ふぅーーっ」
もうすでに暗くなったベランダの上で、
太郎くんは一つ大きなため息をつくと、ぼんやりたたずんでいました。
「太郎ーっ、ご飯だぞ~」
お父さんが声をかけても、
いつもは真っ先に食卓につくはずの太郎くんはビクッともしません。
「どうした? お腹でも痛いのか?」
「う、ううん・・」
「学校で・・何かあったか?」
「・・・・」
「そうか・・」
お父さんは黙ってうつむく太郎くんの頭に手をのせて、ポツリと一言つぶやくと、
太郎くんと肩を並べ、遠くの空を見上げました。
「・・お父さんもなぁ・・
いろんな事で気持ちがすぐれない時など、時々、こうして夜空を見上げるんだ・・
そして、宇宙のずーっと遠くの世界などをいろいろ想像してみるんだ・・
そうしていると、人間社会の心配事なんて、ほんのささいな事に思えてきて、
気持ちが大きくなるんだ・・
太郎、あの大きく光輝いている星までどれくらい距離があると思う?・・
・・25光年、光の速さでも25年かかるんだ・・
これなんかは近い方で、何百光年、何千光年、・・もっともっと遠い星もたくさんあるんだよ・・」
「宇宙って、どこまで続いているんだろうね? お父さん」
「そうだなぁ・・宇宙に果てがあるのかないのか・・
あるとしたら、その向こうはどうなっているのか・・
宇宙って、本当に不思議だよなぁー・・
さぁ、太郎、冷めないうちにご飯食べよう」
(つづく)
